トランプ氏発言一転「台湾を攻撃すれば北京を火の海にする」 米学者「最悪のシナリオに備えよ」

2025-07-10 05:50
2025年7月4日、米国大統領トランプ氏はホワイトハウスで「大きく美しい法案」に署名後、下院議長マイク・ジョンソン氏から木槌を贈られ、敲打した様子。(AP通信)
2025年7月4日、米国大統領トランプ氏はホワイトハウスで「大きく美しい法案」に署名後、下院議長マイク・ジョンソン氏から木槌を贈られ、敲打した様子。(AP通信)
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アメリカのCNNは8日、トランプ氏が「台湾を攻撃すれば、北京を爆撃して粉々にする」と習近平氏に語ったとする音声を公開した。この発言自体は以前から知られていた内容であり、新味はないものの、台湾国内では再び大きな注目を集めている。ただし、CNNの報道の主眼はトランプ氏の発言の一貫性のなさにある。というのも、同氏はこの共和党系資金集めの晩餐会で「プーチンに対しても、ウクライナに侵攻すればモスクワを吹き飛ばすと伝えた」と語っていたが、いまだロシア・ウクライナ戦争を収束させられず、プーチン氏の撤兵も実現しておらず、モスクワを爆撃することもなかったからである。

この音声を公開したのは『ウォール・ストリート・ジャーナル』の調査報道記者ジョシュ・ドーシー氏と、『ワシントン・ポスト』の記者アイザック・アーンズドルフ氏であり、両氏はCNNのインタビューで次のように語った。トランプ氏は昨年、ニューヨークで自身に最も多額の献金を行う支援者らを前に演説し、プーチン氏との「非常に良好な関係」を誇示する一方で、自らが「プーチンに直接対峙し、脅すことも厭わない」と豪語していたという。

しかし現実には、プーチン氏はトランプ氏の言葉に耳を貸さず、ロシアによるウクライナ侵攻も止まっていない。トランプ氏は今なお戦争を終結させることができず、プーチン氏の攻撃を止める力も持ち得ていない。実際、プーチン氏がトランプ氏を恐れた形跡はなく、「良好な関係」というトランプ氏の主張も何ら効果を発揮していない。こうした経緯から、現在トランプ氏は再びウクライナへの軍事支援を打ち出し、ロシアに対する追加の経済制裁も示唆している。

トランプ氏が「台湾を侵略すれば北京を徹底的に爆撃する」と習近平氏に直接警告したとする発言は、2024年5月に『ワシントン・ポスト』が最初に報じたものである。報道によれば、この発言はトランプ氏が資金集めの場で支持者に向けて語ったもので、出席者の間に衝撃を与えたほか、中国国防部からも厳しい批判を受けた。また、米下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長も、トランプ氏が政権末期に「台湾を攻撃すれば習近平を粉砕する」と発言していたことを明かしている。

一方、CNNが公開した音声記録によれば、トランプ氏は同じ場で「プーチンも習近平も、自分の脅しを本気にしていないようだった」と語っており、「だが彼らが10%でも、いや5%でも信じれば十分だ」とも述べていた。トランプ氏は、自らを「言ったことは必ず実行する強硬派の大統領」と印象づけようとしたようだが、習近平氏やプーチン氏がわずかにでも不安を抱けば、戦争を回避できるとする彼の論理は、今回音声を公開した記者たちの揶揄や皮肉の対象にもなっている。 (関連記事: 「2027台湾侵攻」は本当か?習近平氏が語らなかった「統一タイムテーブル」の裏側 関連記事をもっと読む

トランプ氏が台湾防衛を強調する発言、本物か虚構か

このような文脈を踏まえると、果たしてトランプ氏は習近平氏に対する強硬な発言を本当に実行に移すのだろうか。実際、台湾の中央通信社は昨年、「中国が台湾を攻撃すれば北京を爆撃すると警告したかと思えば、台湾に防衛費を支払わせようとする――トランプ氏の発言の一貫性のなさは日常茶飯事であり、彼の国際観は価値より実利を重んじるものだ」と指摘している。

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