アメリカのドナルド・トランプ大統領は8日、14か国に対する「相互的関税」新税率を発表し、日本と韓国には25%、ラオスとミャンマーには40%の関税を課すと明らかにした。一方、台湾は今回のリストに含まれていない。
この件に関し、台湾の元立法委員である邱毅(チウ・イー)氏は、ネット番組『鄉民監察院』で、「台湾が最も悪いケースではベトナムと同様になる可能性があるが、最良でも日本や韓国を超える待遇はあり得ない。関税の着地点は20%から25%の範囲内だろう」と述べた。
ベトナムと同様のシナリオも?台湾にとって厳しい見通し
邱氏によると、当初トランプ氏は「7月9日が関税交渉の最終期限」と明言していたが、現在はこれを8月1日まで延期。主要国との交渉がまとまらなければ、さらに延期される可能性もあるという。
また、ベトナムはアメリカとの交渉で「全製品の市場開放」を条件に、輸入関税をゼロにする措置をとったが、その代償として、一部の原産地偽装商品には40%、その他の製品には20%の関税が課されている。邱氏は「台湾も同様の道を辿る可能性がある」と警鐘を鳴らした。
日本と韓国の水準を下回る待遇は不可能と指摘
邱氏はさらに、「台湾が日本や韓国よりも良い条件を得ることは考えにくい」と強調。日本とアメリカの交渉はすでに第7ラウンドに入っているが、自動車やコメの関税をめぐって日本側が強硬姿勢を貫いているという。
特に日本では、7月20日に参議院選挙を控えており、「農業票の離反を避けるために、トランプ氏の要求に応じられない状況だ」と指摘。仮に日本の自動車業界がトランプ氏の25%関税を受け入れれば、「最大で580万人の失業者が出る可能性があり、自民党は選挙で大敗する」とも述べた。
また、邱氏は「石破茂首相は自らの政治生命を守るためにも、アメリカに対して譲歩することはない」と述べ、現在の強硬姿勢が石破氏の支持率回復につながっていると分析。台湾にとっても、日本と同じ25%での着地が「最良のシナリオ」だとの見方を示した。
「交渉前にTSMCを差し出したのは最大の失策」
邱氏は最後に、「台湾の最大の過ちは、正式な交渉前にTSMCをアメリカ側に差し出したことだ」と強く批判。さらに「アラスカ産の天然ガスを購入する約束をし、輸送用のパイプライン建設にも出資を申し出た上に、ボーイング製航空機の購入まで引き受けた」と述べ、いずれも本来は交渉材料として活用すべきだったと指摘した。
「交渉材料をすべて事前に放出してしまった以上、台湾が有利な条件を引き出すのは困難だ」として、今後の関税交渉が厳しいものになる可能性を示唆している。
編集:梅木奈実 (関連記事: トランプ氏、さらに5カ国に最大40%の関税を発表 日本・韓国に続き市場に衝撃広がる | 関連記事をもっと読む )
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