イーロン・マスク氏、新党「アメリカ党」設立 トランプ氏と全面対決へ 完全決裂の内幕

2025-07-08 15:10
アメリカ大統領トランプ。(AP通信)
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トランプ大統領の「元」盟友である億万長者のイーロン・マスク氏は、トランプ大統領が推進する「大きくて美しい法案」に不満を示し、7月5日に新しい政党「アメリカ党」を結成し、「自由を国民に返す」と誓った。この動きに対して、トランプは6日に反撃し、マスクを「暴走列車」に例え、政党設立を「馬鹿げている」と批判、「第三政党は成功しないだろうが、彼は楽しむことはできる」と述べた。

「マスクは暴走列車、第三政党は混乱を招くだけ」

トランプ氏は7月6日、ニュージャージー州のゴルフクラブからホワイトハウスに戻る際、イーロン・マスク氏による新党設立の決定について記者団に問われ、「第三政党は歴史上、一度も成功したことがない。彼は試してみればいいが、私は非常に馬鹿げていると思う」と述べた。

その後、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」に投稿し、「マスクが完全に『制御不能』となり、過去5週間はまるで『脱線した列車』のように酷い有様だったことを残念に思う」と記した。さらに「彼は第三政党を立ち上げようとしているが、アメリカでそれが成功した例はない」と強調した。

またトランプ氏は、「第三政党が得意とするのは、完全な混乱と不安定さをもたらすことだけだ」と述べ、マスク氏が新党を構想している背景には、自身が電気自動車への補助金廃止を計画していることに対する不満があると指摘した。

導火線:トランプ氏の「大きくて美しい法案」に対する不満

この決裂の発端となったのは、トランプ政権が最近強引に推進した「大きくて美しい法案」である。イーロン・マスク氏はこの法案に強い不満を示し、「吐き気を催す怪物」と酷評したうえで、「すでに巨額の財政赤字をさらに拡大させる」と批判し、「議会はアメリカを破綻へと導いている」と厳しく非難した。

7月4日、トランプ氏がこの法案に署名した当日、マスク氏はX(旧Twitter)上で新党設立の是非を問う世論調査を実施。圧倒的な支持を受けた後、「投票結果は2対1。皆さんは新たな政党を望んでいる。ならば、その願いを叶えよう!」と投稿し、自らの政治プロジェクトを正式に表明した。

マスク氏はさらに、「浪費と汚職がこの国を破産させている。私たちは民主主義ではなく、一党独裁の体制に生きている。今日、『アメリカ党』を設立し、自由を国民の手に取り戻す」と宣言した。

《ガーディアン》紙によると、新党の組織構造や設立時期について、マスク氏は多くを語っていない。ただし、過去の投稿では、上院で2~3議席、下院で8~10議席の獲得を目指す意向を示していた。

現在のアメリカ連邦議会では、上下両院ともに共和党がわずかな差で多数派を占めている。こうした中、マスク氏は「我々が目指す議席数は、重要法案の可否を左右するキャスティングボートになり得る」と語った。

さらに、民主党と共和党によるアメリカ政治の独占体制を打破することは「それほど難しくない」と述べ、意気込みを見せた。加えて自身のSNSでは、「第1回アメリカ党大会は、いつどこで開催すべきか?これはものすごく面白くなるぞ!」と、期待を込めた投稿を行っている。