中国とアメリカは最近、ロンドンで高官級による経済・貿易会談を開催し、その成果の実行に踏み出した。中国商務部は7月4日、米国側が中国に対する一連の輸出規制および制限措置の一部を自主的に解除し、正式に中国側に通告したことを明らかにした。この措置は、米中の経済関係における重要な転機と受け止められており、今後の対話に向けた土台作りとなると見られている。
解除された主な輸出規制 EDAやジェットエンジンが対象に
中国商務部によれば、すでに一部企業が米国商務省から通知を受け、中国への特定製品の輸出が再開された。対象となるのは、EDA(電子設計自動化)ソフトウェア、エタン由来の化学原料、そしてジェットエンジンなどの先端装備である。これらはいずれも過去に米国側が安全保障や技術機密の観点から輸出を制限していた製品であり、今回の一部解除は規制実務の柔軟化を示すものである。
中国の反応 「法に基づく審査」と冷静な対応を強調
中国側も、今回の米国の措置に対して法的手続きに基づいた対応を取っていると強調している。中国商務部の報道官は、輸出規制対象の製品については許可申請を受け付け、審査を行っていると述べた。これは、中国が対等かつ理性的に二国間のやり取りに臨んでいる姿勢の表れである。また、この対応は6月5日に行われた米中首脳の電話会談で得られた共通認識を具体的に反映したものであり、さらにジュネーブ会談の精神の延長線上にあるとも説明した。中国側は、対話と協力こそが正しい道であり、一方的な制裁や圧力には反対するとあらためて表明した。
恩恵を受ける産業は? 航空・電子分野に追い風
今回の緩和措置のなかで特に恩恵を受けるのは、航空宇宙および電子関連産業とされる。中国メディア『澎湃新聞』によると、アメリカのGE航空宇宙は、中国の国産航空機C919に搭載されるLEAP-1C型ジェットエンジンの供給を再開した。同時にOEM(相手先ブランド生産)各社も出荷を再開しており、これまでの技術封鎖によって生じていた生産上のボトルネックの解消にもつながると期待されている。これは、中国の航空産業にとって大きな前進を意味する。
米中関係は良い方向に向かっているのか?
一方で、米中間には引き続き地政学的および産業競争上の緊張が残っている。しかし今回の措置は、両国が経済的安定に向けて歩み寄りを試みていることの表れでもある。中国商務部は改めて、米国に対して「米中は構造的に相互利益を享受できる関係にある」と認識するよう求め、「脅威と対立」の道に戻るべきではないと強調した。今後は実務的な対話を通じて、二国間の協力メカニズムを正常な軌道に戻すことが求められている。
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