300年の時を超えるアートの旅が、この夏台北で始まる。日本のキュレーションチームとフィレンツェクリエイティブが共同で手がけた没入型アート展『動く浮世絵展』が、2025年7月5日から松山文創園区1号倉庫で開催される。会期は10月6日まで。
これまでにも『印象派光影芸術展』や『動く清明上河図』などで、芸術とテクノロジーの融合が観客を魅了してきたが、今回は台湾で初となる“浮世絵”をテーマにしたデジタルアート展。CGアニメーションや360度プロジェクション、AIとのインタラクション、オリジナル音楽など最新技術を駆使し、浮世絵の世界を現代的な手法で再解釈する。観客は江戸の文化に“没入”しながら、日本美学の真髄に触れる体験ができる。
6人の巨匠と300点の名作が集結
本展では、浮世絵の黄金期を代表する6人の絵師—葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川国貞—によるおよそ300点の名作と貴重な原画を展示。テーマは風景、花鳥、美人画から武士、市井の暮らし、歴史伝説まで多岐にわたる。観客は、ただ鑑賞するだけではなく、絵の中の江戸の街を歩き、富士山を望み、花魁の姿を追い、武士とすれ違うなど、絵の世界に「入り込む」ような体験ができる。
主催のフィレンツェクリエイティブは「浮世絵は日本文化の象徴であると同時に、印象派やアールヌーヴォーなど世界の芸術運動にも大きな影響を与えた。今回の展覧会では、クラシックな浮世絵に現代技術を融合させ、新しい表現を提示したい」と語っている。
九つの展示ゾーンで再発見する「動く美」
展示エリアは「浮世誕生」「花卉美人」「自然の韻」「水の風景」「江戸風情」「奔放な野生」「雅芸再現」など9つのテーマに分かれ、それぞれ異なる光・音・映像体験を通して、浮世絵に込められた時代背景や文化的な物語が立体的に浮かび上がる。各エリアで用意されたインタラクションによって、来場者は作品の裏にある生活文化や美意識を“体感”できる。
これは単なるアート展ではなく、東洋と西洋、過去と未来をつなぐ文化体験の旅でもある。『動く浮世絵展』は、2025年夏の台北で、現代と江戸を結ぶ“時空を超えた美の架け橋”となるだろう。
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