アメリカ議会は独立記念日を目前に、「大きくて美しい法案」と形容された減税および支出法案をわずかな票差で可決した。この決定を受けて、ドナルド・トランプ大統領は興奮した様子で勝利を宣言し、「この国をロケット船に変える法案だ」と述べた。彼は「これは史上最大の減税であり、国境の安全を一新するものだ」とも語った。
この法案は、トランプ政権にとって第2期の最も重要な立法成果のひとつとされており、彼が公約として掲げた大規模な移民追放政策の実行にも、1,500億ドル(約24兆円)という巨額の資金を供給するものだ。下院での採決が発表された直後、トランプ氏は「これは間違いなく、これまで署名された同種の法案の中で最大だ。我々はこの国をロケット船に変えるつもりだ」と記者団に述べ、法案の多機能性を強調した。
党内での対立やわずか4票差という接戦にもかかわらず、トランプ氏は「この法案の内容をよく見れば、可決は当然のことだった。史上最大の減税であり、南部国境の安全、移民問題などをすべて包含している」と自信をのぞかせた。
史上最大規模の追放行動?
今回の法案でもっとも注目を集めているのは、移民政策への莫大な予算措置だ。トランプ政権はこの法案によって、無証明移民に対する「ゼロ・トレランス」政策を本格始動させる。予算総額は1,500億ドル(約24兆円)を超え、第1期政権をも凌ぐ規模となる見込みだ。
具体的な資金配分には以下が含まれる:
*アメリカ移民・関税執行局(ICE)の拘留施設拡充に750億ドル(約12兆円)
*国境安全強化に500億ドル(約8兆円)、壁の建設や監視システムの拡張を含む
*残りは追放活動の支援および実施費用に充てられる
この施策が本格的に動き出せば、アメリカ国内外で激しい人道的議論を呼ぶのは必至と見られている。
議会を二分した「大きくて美しい法案」 民主党は8時間以上の演説で抗議
法案可決までのプロセスは、アメリカ政治の深い分断を浮き彫りにした。下院での採決を前に、民主党の指導者ハキーム・ジェフリーズ氏は8時間46分にわたる史上最長級の演説を行い、法案への強い反対姿勢を示した。
ジェフリーズ氏は、「共和党はこの巨大で醜い法案をアメリカ国民に押し付けようとしている」と非難し、「指導者には勇気、信念、思いやりが必要だが、現政権に見られるのは冷酷さ、混乱、そして腐敗だ」と批判。医療や生活福祉に対する深刻な打撃になると訴えた。
最終的に下院では、共和党が218票対214票で法案を通過させた。上院でも、副大統領のJ.D. ヴァンス氏の決定票により51票対50票で可決された。ホワイトハウスはこの結果を受け、トランプ大統領が7月4日午後5時(東部標準時)に署名を行うと発表している。
この減税と支出再編、移民排除という三本柱は、今後数年でアメリカ社会を大きく再構築し、2026年の中間選挙ではトランプ路線の是非を問う主要争点になることは間違いない。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp (関連記事: 米国、ペトリオット供給を一時停止 ウクライナ激怒「ロシアの侵略を助ける行為」 トランプ政権は「米国第一」と正当化 | 関連記事をもっと読む )