トランプ氏「日本は甘やかされてきた」米輸入めぐり対日批判強める

2025-07-02 17:47
2025年1月21日、東京の外国為替取引会社のスクリーンに映し出されたトランプ米大統領の就任演説。(AP通信)
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日米間の貿易交渉が難航している。トランプ大統領は6月30日、日本に対し貿易赤字の削減を強く要求し、「米が不足しているのに米国産米を買わない」「甘やかされている」と批判した。さらに、7月9日には「貿易協定を終わらせる通知」を出すとまで警告している。

交渉の期限が迫る中、支持率が低迷する石破茂内閣は、国内政治の混乱にも直面し、参議院選挙で苦戦を強いられている。石破茂首相は6月30日、日経アジアのインタビューを受け、米国の石油購入を検討し、将来の交渉の駆け引きを考慮していると述べた。

「米不足なのに買わない?」トランプ氏が対日姿勢を強化

アメリカのトランプ大統領は6月30日、SNS上で日本が米不足に直面しているにもかかわらず、米国産米の輸入に消極的な姿勢を示していることを批判し、「日本は甘やかされている」と強い表現で不満をあらわにした。この発言を受け、東京株式市場は敏感に反応し、日経平均株価は0.8%下落した。

また、トランプ氏は7月9日に期限を迎える「対等関税」政策の猶予期間終了に合わせて、すべての貿易相手国に対して今後の関税方針を記した「手紙」を送る方針を明らかにした。7月1日に放映されたフォックスニュースのインタビューでは、この手紙が「すべての貿易協定の終結を意味する」と述べ、市場に大きな動揺をもたらした。この報道を受けた翌日、日経平均はさらに501ポイント下落した。

ブルームバーグによれば、日本国内の米価格は過去1年間で倍増し、政府は需給バランスの調整に追われている。消費者の不満も高まり、農林水産大臣を務めていた江藤拓氏は「米を買ったことがない」との発言が批判を浴び、辞任に追い込まれた。

石破茂首相率いる日本政府は、緊急対応として備蓄米を市場に放出し、流通経路の見直しを進めている。米国産米の輸入拡大は需給の安定に寄与する可能性があるが、石破政権は農業関係者の反発と世論の圧力に直面しており、少なくとも7月20日の参議院選挙までは、関税引き下げを交渉材料とする余地は乏しいとブルームバーグは分析している。

日本九州日向市のスーパーで、白米が棚に並べられ、『米の供給量が不足しています。家庭ごとに1袋限定』と書かれている。(AP通信)
日本の九州、日向市のスーパーで、白米が棚に並べられ、「米の供給量が不足しています。ご家庭ごとに1袋限定」と表示されている。(AP通信)

交渉は平行線 石破政権は選挙後の再開を模索か


石破氏の側近であり交渉代表を務める赤澤亮正氏は、6月26日から29日まで米ワシントンを訪問し、貿易協定に関する第7ラウンドの交渉を行った。帰国後の発言によれば、米国との巨大な貿易赤字については合意に至らなかったという。今回の交渉では、スコット・ベッセント米財務長官や、通商代表ジェイミソン・グリア氏との面会は実現しなかったとされる。赤澤氏は「日本の利益を守りながら、双方に有益な合意を模索する姿勢に変わりはない」と述べ、交渉継続の意志を示している。

米国の政治リスクに詳しいコンサルタント、デビッド・ボーリング氏は6月30日、米笹川平和財団のセミナーで「交渉とは競技のようなもので、主導権を握ることが鍵になる」と指摘。赤澤氏がG7サミット期間中に積極的に米政府関係者と接触を図ったことが、トランプ・石破会談への布石になったとの見方を示した。