貿易赤字解消目指すも米国車は日本で売れず 石破茂が奇策「逆輸入」構想 米製日系車でトランプ関税の壁を克服へ

米カリフォルニア州のトヨタ自動車販売店。(AP)

​米国トランプ大統領による輸入自動車への高額関税賦課を受け、日本政府が新たな対応策を模索していることが明らかになった。日本車メーカーが米国で生産した車を「逆輸入」して国内で販売する案が浮上している。毎日新聞の報道によると、この構想は対米貿易構造の調整を通じて交渉を打開し、米国側の関税政策緩和を促す狙いがあるという。最終的には、現在日本車に課されている25%の関税撤廃を目指している。

日本政府は長年にわたり、米国に自動車関税の撤廃を強く求めてきたが、米国側は慎重な姿勢を崩していない。毎日新聞によると、政府は米国産日本車の「逆輸入」を通じて対日貿易赤字の改善を図り、トランプ政権に関税問題での譲歩を促したい考えだ。現在、日米貿易会談は米財務長官ベネット氏と経済再生担当大臣の赤澤亮正氏が担当しており、「米国車の日本市場進出」問題が部長級会談の焦点となっている。ただ、日本側の当面の対応は「輸入車両の安全審査の簡素化」にとどまっている状況だ。

政府関係者は毎日新聞の取材に対し、「現段階では日本の消費者による米国車への需要は限られている」と認める一方、米ビッグ3(フォード、GM、クライスラー)が日本市場を積極的に開拓していない現状では、「米国車の日本市場進出」の効果は限定的との見方を示した。こうした中、日本車メーカーが米国で生産し、日本市場のニーズに合った車種を「逆輸入」することで、販売状況の安定化が期待できるとして、この「逆輸入」案に注目が集まっている。

一方、毎日新聞は、米国政府が自動車関税の引き下げに慎重な姿勢を維持していると伝えている。最近、米英両国が年間10万台までの「低関税枠」設定で合意したものの、日本にも同様の条項が適用されるかどうかは不透明な状況だ。日本側の交渉関係者は「日本から米国向け自動車輸出は年間137万台に達しており、あらゆる手段を講じて関税引き下げを実現したい」との意向を示している。

「米産日本車の逆輸入」による貿易赤字解消策には、1990年代の日米貿易摩擦時にも先例がある。当時、米国は日本からの大量の低価格自動車輸出が米自動車産業に打撃を与えていると主張し、円の大幅な切り上げを日本側に迫った。これを受け日本も「逆輸入」を推進し、米国ホンダ製の「アコード」クーペなどが日本市場で成功を収めた経緯がある。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp