米トランプ大統領の中東訪問が大きな成果を上げている。15日にカタール入りした際には最新鋭のF-15QA戦闘機による護衛を受け、カタール航空からは大型旅客機の大量発注が決定。さらにカタール側は今後数年で100億ドル(約1.45兆円)を投じ、国内の米軍基地を拡張する計画を発表し、中東地域における戦略的重要性をアピールした。
カタール、米軍基地に大規模投資 戦略的パートナーシップを強化
ロイター通信によると、トランプ大統領は多数のビジネスリーダーを同行し、カタールのタミーム・ビン・ハマド・アル・サーニ首長ら王室メンバーとの会談後、15日にドーハ南西部のアル・ウデイド空軍基地を視察した。この基地は中東最大の米軍拠点であり、大統領は駐留米軍兵士に対し「米国の利益を守るため、自ら戦闘を終結させる責任がある」と強調した。
.@POTUS has announced that#Qatar will invest $10 billion to support the Al Udeid Air Base "in the coming years" during his address at the military base in the#Gulf state on Thursday.#Trump has also praised the leadership of Qatar's Amir Sheikh@TamimBinHamad Al Thani and their…pic.twitter.com/KoLD6tFMNp
— Doha News (@dohanews)May 15, 2025
公開資料によれば、カタールのウデイド空軍基地には現在約8000人の米軍が駐留しており、これはイラク・アフガニスタン戦争のピーク時の1万人よりやや少ない。実際、カタールはこの20年間で少なくとも80億ドル(約2416億円)をこの基地だけに投じ、平坦な砂漠から一変して米軍の中東での軍事任務における前進指令所となった。基地の位置が地政学的に微妙なことから、長い間、米軍は対外的に「西アジアのある場所」という基地の呼称で言及していた。
カタールは過去20年ですでに少なくとも80億ドル(約2416億円)を投入し、ウデイド空軍基地を建設、米軍の中東軍事行動の重要な指令センターとしている。

軍事装備の発注額1兆円超、カタールが米国の大口顧客に
トランプ大統領の今回の訪問や発言の背景には、「武器売却」と有利な契約獲得という明確な狙いがうかがえる。大統領は到着後、ボーイング、GEエアロスペース、アル・ラバン・キャピタルの幹部らとのラウンドテーブルに出席。この場でカタールは、米主要企業との間で総額420億ドル(約12.6兆円)相当の軍事装備契約を締結したことが明らかになった。
さらにトランプ大統領自身も、カタール首長に対し「多数の米国製装備を購入していることを誇りに思う」と述べ、その一部を視察する意向を示した。F-15QA戦闘機はボーイング社の特別仕様機であり、現在もカタール空軍の主力戦闘機として運用されている。このほか、MQ-9B無人機もカタールに販売されている。

カタールの戦略的外交、米国とトルコを取り込み孤立打開へ
ペルシャ湾岸に位置するカタールは豊富な天然ガス資源を有するものの、イランとの関係が近いことから、2017年以降はサウジアラビアなどから一時的な断交措置を受けた。この外交的孤立を打開するため、カタールは早くから中東で影響力を持つトルコや米国との関係強化を図り、厳しい状況を乗り越える戦略を展開している。

短期間のカタール滞在を終えたトランプ大統領は、次の訪問先であるアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに向かう予定。今回の中東訪問の最終地となるアブダビでは、シェイク・ザイード・グランド・モスクの参拝や首長との会談が予定されており、併せて通商交渉も行われる見通しだ。
編集:梅木奈実
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