評論》台湾に「真理部」が発足?頼清徳政権の対中交流制限に教育界から懸念の声

教育部長の鄭英耀氏は14日、両岸は現在緊張状態にあるが、国際交流は学生にとって良いことである。ただし、中国との交流については、現時点では推奨せず、禁止、反対していると述べた。(資料写真、劉偉宏撮影)

台湾・頼清徳政権が新たな省庁を設立したのか? そうではない。だが、教育部(教育省)や大陸委員会といった政府機関が、両岸関係の緊張を背景に「左右の護法」として新たな役割を担い始めた。13日、大陸委員会はFacebookに投稿し、中国側が台湾の学生を呼び込むさまざまな交流活動は、中国共産党の統一戦線宣伝の道具となる可能性があると指摘した。翌14日には、教育部長(文部科学大臣に相当)である鄭英耀氏がこれに続き、「両岸は現在緊張関係にあり、国際交流は学生にとって良いことだが、中国との交流については、今のところ推奨せず、むしろ禁止、反対する立場だ」と述べ、衝撃を与えた。

冷え込み効果が拡大、両岸交流に自主規制と自粛の波

鄭英耀氏が口にした両岸交流禁止に関して、ある学者は「明確にそれを示した史上初の人物だ」と評している。実際、鄭氏は一貫して両岸の教育・学生交流に反対の立場を取り、先頭に立って行動してきた。今年(2025年)2月、教育部は中国大陸の「統一戦線3校」および「国防7子」を相次いでブラックリストに追加した。3月13日、頼清徳総統が中国を「境外敵対勢力」と宣言し、「頼17条」による両岸断交政策を打ち出すと、鄭氏は直ちに両岸の小中学校間の交流を避けるよう示し、欧米、東北アジア、シンガポールとの交流を優先すべきだと表明した。

15日、鄭氏は「中国との学術交流に反対するなどというレッテルは受け入れられない」と釈明したが、教育界では既に「冷え込み効果」が広がっており、小学校から大学まで、保護者から学者までが両岸交流に慎重になっている。ある学者はグループ内で、「政府の発言と行動は全面的な弾圧を意味する」と率直に語り、中国側からの夏休み交流の招待も多いが、「様子見の人が多く、行きたがらない人ばかりだ」と吐露した。

鄭氏は「教育部に人民の移動の自由を制限する意図はない」と強調したが、「頼17条」の登場以降、教育部と大陸委員会は「中国交流のリスク」を声高に訴えており、芸能人や軍公務員への「忠誠心の審査」とも取れる措置を含め、台湾海峡を分断する政治的目的を既に達成している。具体的な法律や政策がなくとも、人々は自主的に検閲し、自粛するようになっており、中国との交流から戻った際に政府に目をつけられることを恐れている。

広東省広州市の暨南大学は中共統戦部に所属。(暨南大学公式サイト)
教育部は2月20日に中国大陸の華僑大学、広州暨南大学、北京華文学院との3校協力交流を禁止すると発表し、今後は学歴を認定しない。(広州暨南大学公式サイトから)

頼清徳の「聖旨」に従い、人心を「浄化」する教育部長

台湾の政治民主化以降の教育部長の中で、鄭英耀氏は杜正勝氏と対比される存在となりうる。李登輝政権期、杜正勝氏は歴史教育における「認識の改造計画」の設計者かつ執行責任者だった。陳水扁政権期には、院士級の杜氏が「罄竹難書(筆舌に尽くしがたい)」という成語を誤用した政権のために擁護を繰り返すなど、知識人が権力に屈する醜態をさらした。 (関連記事: 「台湾の提案は非常に良い」 米財務長官が評価、天然ガス600万トン契約で“超優遇税率”の可能性も 関連記事をもっと読む

大学学長出身の鄭英耀氏は、まるで東廠(明代の特務機関)か親衛隊のように、頼総統の「人心を洗浄する」思想・言論統制への強い意志を体現している。彼は、台北第一女子高校の教師・区桂芝氏を名指しし、「教育者には国家意識が必要だ」と主張。インターネット番組では、「教育者には最低限の国家認識の立場が求められる」と語った。一方で、「学生の言論自由を尊重する」として、民進党の「大規模罷免運動」が学校構内にブースを設置することを認め、まるで「開けゴマ」の呪文のように門を開いた。