「7月5日、日本で大地震」予言SNSで拡散 台湾・香港で訪日控える動きも

2025-05-14 16:13
日本の龍婆とされる龍樹諒が、2025年7月5日に日本に壊滅的な大地震と津波が襲来し、台湾やフィリピンなどの多くのアジア諸国に深刻な影響を与えると主張した。(イメージ図/AP通信)
日本の龍婆とされる龍樹諒が、2025年7月5日に日本に壊滅的な大地震と津波が襲来し、台湾やフィリピンなどの多くのアジア諸国に深刻な影響を与えると主張した。(イメージ図/AP通信)
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「7月5日の大地震」なぜ話題になっているのか?

2025年7月5日に日本を中心とした巨大地震と津波が発生するという「予言」が、台湾や香港のSNS上で急速に拡散し、現地では不安の声が広がっている。この「災害予言」は、日本の漫画家・たつき諒氏がかつて描いた『私が見た未来』という作品に由来する。彼女は過去に阪神淡路大震災や東日本大震災、新型コロナの流行などを「予見」していたとされ、一部では「日本の龍婆」と呼ばれている。

今回も彼女の描いた未来の出来事として、「震源が日本・台湾・フィリピンの海域で、広範囲に津波が押し寄せる」という内容が取り上げられ、多くの人々に影響を与えている。

「7月5日の大地震」の予言はどうして海外にまで広がったのか?

NHKによると、このような「2025年7月大災害」に関する動画は2023年からYouTube上で増加しており、2025年に入ってからは爆発的に再生回数が伸びている。日本語だけでも1,400本以上の関連動画が存在し、再生数は1億回を超える。

また、これらのコンテンツが英語や中国語などに翻訳され、特に台湾・香港など中華圏での拡散が顕著となった。繁体字中国語の動画は220本以上、再生回数は5,200万回にのぼるという。さらに一部の風水師やメディアが「4月以降は日本に行かない方がいい」などと発言したことで、旅行への不安がより強まった。

「7月5日の大地震」の予言は観光業への影響?

この「予言騒動」は観光業にも影響を与えている。日本政府観光局によれば、香港からの訪日客数は2024年3月時点で約20.8万人と依然として高水準だが、前年同月比で9.9%の減少を記録した。

特に香港との直行便を持つ地方都市では打撃が大きい。徳島空港と香港を結ぶ定期便は、今年5月から週2便に減便。仙台、福岡、札幌などの路線でも同様の動きがみられる。実際に訪日予定だった香港の夫婦は「日本で地震に遭ったらどうしていいか分からない」と語っている。

「7月5日の大地震説」地震の専門家はどう見ている?

台湾中央気象局の元地震観測センター長・郭鎧紋氏は、「過去の巨大地震は事前に複数の前震が観測されているが、現在は世界的に地震活動が静かな『平穏期』にある」と指摘。「7月5日の大地震説」は信ぴょう性に乏しいと述べた。

また、日本気象庁も「現在の科学では地震や火山の具体的な発生日時・場所を予測することは不可能」との立場を示している。東京大学の災害情報学の専門家・関谷直也教授も、「このような予言には一切の科学的根拠がない」と断言。仮に7月に大地震が起きたとしても、それが「予言通り」とするのは誤りであり、日頃の備えこそが真の防災だと強調している

「7月5日の大地震説」どう対応すべきか?

関谷教授は「不確かな情報に過剰反応するのではなく、日常的な防災準備と冷静な情報の取捨選択が重要」と呼びかけている。SNSや動画サイトなどで拡散される不確かな情報には注意を払い、むやみに共有しないことが、社会的な混乱や不安を防ぐ鍵となる。 (関連記事: 中国、東シナ海で新たな海上施設を設置 日本政府が強く抗議「2008年合意の協議再開を」 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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