呉典蓉コラム:《エコノミスト》大規模な対外宣伝活動、なぜ民進党を不快にさせるのか

《エコノミスト》の表紙:この台湾の試練は、想像以上に近い。(AP通信)

この世界には多くの例外論がある。たとえば、アメリカ例外論、中国例外論などだ。例外論は通常、強権の産物であるが、それほど大国ではない台湾にも例外論がある。それが「民主例外論」であり、さまざまな民主基準が台湾には適用されないというものだ。今回、台湾は再び『エコノミスト』の表紙に取り上げられた。テーマは台湾が中米の圧力に直面している困難についてであるが、特集の中には台湾政治の深刻な対立状況にも触れられており、その立論の基礎がまさに典型的な台湾の民主例外論である。

野党による国防予算の大幅削減?『エコノミスト』民進党の認知作戦を複製する

政治対立は民主主義国家では珍しくなく、アメリカ政治もそうである。しかし、台湾のように大規模な罷免が「民主内戦」まで発展し、対立状況が政治家から民間にまで広がることは世界的にもまれである。言い換えれば、台湾の政治は確かに極端に対立しているが、エコノミストはそのためにこのような対立が賴政府の国防予算増加、輸入エネルギー依存の削減や危機に備えるための対策を阻んでいる(The resulting gridlock prevents Taiwan from taking decisive measures to raise its defence spending, cut its reliance on imported energy, or prepare for a crisis)という主張は、民進党の認知作戦の複製であり、事実を逸脱している。

たとえば、エコノミストが特集の別の部分で野党が国防予算を大幅削減したと述べているが、それは事実と異なる。実際、今年度の国防予算は新台湾ドル46億元のみ削減、削減率は1%未満である。そのうち45億元は国防関連「フクロウ・プロジェクト」見積価格差異であり、与野党が一致して削減に合意している。つまり、国防予算は実質1億元しか削減されていない。744億元の凍結については、民進党が「凍結」が監督手段であり、「削減」とは全く異なることを意図的に混乱させている。また、民進党がこのような宣伝を行う際に、『エコノミスト』はメディアとしての検証責任を怠り、そのまま受け入れてしまった。事実、以前にエコノミストがトランプ政権のペンタゴン改革の意図を称賛したように、台湾の国防予算に無駄がある場合、立法府が削減できることに何の問題があるのか。しかし、この部分の監督に関して、野党は「親中」の烙印を恐れて自らを制限している。今年度の国防予算の削減率は過去10年間で最低だが、それでもなお攻撃されている。このような宣伝は、確かに完全に現実を逸脱することがあり得る。 (関連記事: 《エコノミスト》台湾放棄論を再提起:トランプは習近平に機会を与え、「実質的に台湾を放棄」する可能性も 関連記事をもっと読む

政治対立により輸入エネルギー依存問題が解決しにくい?真実は民進党の廃止核にある

また、野党が政府の輸入エネルギー依存に対処するのを妨げているという主張は、全く根拠がない。エコノミストや他の国際シンクタンクが分析する通り、解放軍が台湾を攻撃する場合、最も可能性の高い手法は封鎖である。封鎖に直面して、台湾は多くの困難に直面するが、最大の困難はエネルギー問題である。台湾の天然ガスの占める割合は既に約5割に達し、しかもその9割は輸入に依存している。もし台湾が封鎖された場合、経済部の推定によると、現在の天然ガス安全在庫は8日間しか保たない。既に計画されている3つの受取ステーションが順調に完成しても、14日にしか増加しない。つまり、台湾が10日以上封鎖されれば、大電力不足に陥る可能性があり、その時は生活にすら困難である。どのようにして対抗できるだろうか。