舞台裏》台湾での派閥争いなし、2023年には既に攻撃型無人艇が!米国、大統領が非対称戦を強要 軍は何を求めているのか不明瞭

2025-05-06 20:16
台湾の攻撃型無人艇推進過程は、軍内部の権力闘争を含んでいた。参考画像、T-38「デビルレイ(Devil Ray)」無人艇。(米国海軍公式サイトより)
台湾の攻撃型無人艇推進過程は、軍内部の権力闘争を含んでいた。参考画像、T-38「デビルレイ(Devil Ray)」無人艇。(米国海軍公式サイトより)

ロシア・ウクライナ戦争以来、ウクライナは幾度となく自爆型無人水上艇(Unmanned surface vehicle、USV)を駆使してロシア軍艦を撃沈させてきた。特に注目を集めているのがMAGURA V5である。小規模な戦力で大規模な敵を打ち破る能力を実証したことで、各国が研究開発に乗り出している。台湾の中科院も「快奇プロジェクト」という暗号名で無人艇の開発を進めているが、あまり知られていないのは、この快奇プロジェクトには蔡英文前総統と頼清徳現総統による無人機器開発に関する知られざるストーリーが隠されていることだ。

無人艇は小型で低コスト、高い機動性を持つという特徴から、非対称戦の最良の事例と見なされている。国家安全会議の賀増原研究員は、ウクライナ軍の無人艇は高速で軍艦の捜索レーダーを回避して攻撃できると指摘した。ロシア軍はセヴァストポリ海軍基地で奇襲を防ぐため、3週間にわたって軍艦を出港させることができなかった。無人艦は「海戦新時代」の焦点となっているのだ。2024年から中科院は「快奇プロジェクト」として8億1200万元の予算を計上し、2025年下半期に作戦評価を完了させ、2026年に量産して各軍種へ配備する計画を進めている。

20250325-台船無人艇「魔鬼魚」。(張曜麟攝)
台湾が非対称戦へと転換する中、メーカーも無人艇の研究開発に参入している。写真は台船が3月25日に発表した無人艇「デビルフィッシュ」。(資料写真、張曜麟撮影)

非対称戦―ウクライナ軍無人艦はロシア軍艦を撃沈

しかし、非対称戦の原則は小規模な戦力で大規模な敵を打ち破ることだけでなく、低コストと機動性も備えていなければならない。ところが快奇プロジェクトの無人艇は高額すぎるとの批判が出ている。国民党の馬文君立法委員は以前、「快奇プロジェクト」の予算は8億元以上で、1隻あたり2億元、プラットフォームだけで1隻のプロトタイプに6400万元かかると指摘した。実戦経験を持つウクライナの無人艇の製造コストが600万元程度、あるいは200万元程度であることと比較すると、非合理的でコスト効率が良くないと批判している。

ウクライナのMAGURA V5は2023年7月にトルコの国際防衛産業展で正式にお披露目された。ウクライナ当局の資料によると、この艦は長さ5.5メートル、幅1.5メートル、重量は1トン未満、最高速度は時速78キロメートル、最大作戦範囲は800キロメートルで、200キログラム以上の爆薬を搭載可能だ。つまり、数百万円の無人艦でロシアの数千万円の軍艦を撃沈できることになり、非対称戦の最良の例となっている。 (関連記事: 李忠謙コラム:AIテクノロジーは自由民主主義の味方か、それとも専制政権の共犯者か? 関連記事をもっと読む

20250502-MAGURA V5型無人艇。(取自烏克蘭國防部情報總局臉書)
ウクライナは自爆型無人水上艇を使ってロシア軍艦を撃沈し、典型的な非対称戦を展開している。写真はウクライナのMAGURA V5型無人艇。(ウクライナ国防省情報総局フェイスブックより)

無人艇がこんなに高価?中科院製は1隻6000万元も

馬文君はかつて『風傳媒』のインタビューで、快奇プロジェクトは機密案件だが、現在公開されている情報では、総予算は8億1200万元、船体部分は約2億2000万元、中科院は攻撃艇3隻と標的艦1隻の計4隻を計画しており、平均すると1隻約6000万元になると述べた。これは高すぎるという。技術面を除いても、船体部分は台湾の多くの民間造船所でも製造可能であり、これほど高価である必要はないと指摘した。

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