関税戦争が終わらず、通貨戦争が始まり:台湾は日本の「失われた30年」を辿るのか?

最近の台湾ドル急速上昇、すでに30元の壁を突破。(楊騰凱による撮影)

アメリカのトランプ大統領が再び世界的な関税戦争を引き起こし、台湾も高関税の対象に加えられた。この貿易衝突は、もはや単なる関税の問題にとどまらず、グローバル金融市場を揺るがす通貨戦争へと発展している。関税戦争が終息に向かう中、市場では次の戦場が為替であると広く認識されている。最近の台湾ドルの急速な価値上昇は、アメリカが為替問題に対して強硬な姿勢を示していることの表れである。

専門家によれば、トランプ政権は関税と為替の両面作戦を通じてドルを押し下げ、台湾を含むアジア通貨を上昇させ、他国の輸出競争力を削ぐことで、世界経済秩序の再構築を目指している。多くの人々は1980年代の日本を想起する。当時、日本はアメリカの圧力で円高を余儀なくされ、市場を開放し、最終的には経済バブルの崩壊と長期停滞に陥った。現在、台湾はこの「失われた30年」の悲劇を繰り返すのだろうか。

プラザ合意:日本繁栄の転換点

1985年、アメリカの巨額貿易赤字を是正するため、米国、日本、西ドイツ、イギリス、フランスの5カ国はニューヨークのプラザホテルで「プラザ合意」を結んだ。この合意の核心は、ドル安と円高の実現にあった。わずか2年で、円は1ドル240円から120円まで急騰し、その上昇幅は一倍に達する。

日本にとって、これはアメリカから公平な貿易を求められた手段に過ぎなかったが、急激な円高は日本の輸出産業に大打撃を与えた。経済を救うため、日本政府は大幅な利下げと融資基準の緩和を行い、多くの資金が株式市場と不動産市場に流れ込み、資産価格が狂乱的に上昇する。「東京を売ればアメリカ全土を買える」とまで言われたのはこの時期である。

しかし、この繁栄はバブルに過ぎなかった。1990年代初頭、日本銀行は過熱する資産市場を抑制するため大幅な利上げに踏み切り、バブルは崩壊する。株価と地価は暴落し、銀行は不良債権を抱え、日本経済は長期的な停滞に陥る。賃金が伸び悩み、若者が住宅を購入できなくなり、企業の投資意欲も低下した。この時期は「失われた10年」と称され、後には「失われた30年」とまで呼ばれるようになった。

失われた30年:学界が合意に至らず、政策の誤りと社会構造が鍵

プラザ合意と急激な円高が「失われた30年」の主因と見なされることが多いが、経済学界での議論はなお続いている。多くの学者は、円高だけに日本の停滞の原因を求めるのは単純すぎると指摘する。実際には、日本銀行による過度な金融緩和によるバブル形成と、それに続く過度な引き締めによるバブル崩壊が主要因とされている。また、日本社会の急速な高齢化と労働人口の減少も経済構造の調整を困難にし、政策誤りの影響を増幅させる。 (関連記事: 台湾ドルが異例の急騰!取引開始15分で29元台突入、アジア最強通貨に躍進 関連記事をもっと読む

さらに、日本企業の文化や社会構造が産業の革新や転換を妨げ、グローバルな産業トレンドが日本の伝統的な優位産業に不利に働いた。こうした複雑な要因が重なり合い、日本は長期の経済低迷に陥ることとなった。