舞台裏》台湾・民進党のリコール攻勢が加速 台中・桃園・花蓮を重点、勝負の行方は不透明

リコール戦は続いており、リコール団体が国民党の立法委員を投票段階に移すために20席以上を目指している。(資料写真、柯承惠撮影)

台湾全土で進行中の大規模リコール運動は現在、第2段階の署名締め切りが迫り、リコール団体は申請準備を急いでいる。民進党と各団体の連携、次のリコール投票段階への対応、現状に対する楽観視の是非が注目されている。民進党の報道官である卓冠廷氏は最近、民進党主席かつ総統の頼清徳氏が中央常務委員会で「35人の国民党議員のリコール署名を全て通過させる」と指示したと述べたが、中常委の陳茂松氏は4月30日、頼氏は必要な市民団体を支援するよう述べただけで、35議席の具体的な方針には触れなかったと説明した。

ある民進党関係者は『風傳媒』に対し、当初の説明は正確性を欠き、頼氏に「35議席全て通過させる」という発言はなかったと語った。ただし、リコール参謀団体「反共護台連盟」の見立てによれば、第2段階終了後、少なくとも20議席の国民党議員リコール案が第3段階の投票に進む見通しで、自信を示している。補足書類の提出は5月末まで続くと見込まれ、投票日が地域によってずれる可能性はあるが、各リコール団体のペースを尊重する構えだ。7月末の投票を見据えても、多くの要因が影響するため、当面は第3段階の戦略は現時点では未確定だという。

民進黨主席賴清德出席中常會。(民進黨提供)
民進黨主席賴清德は中常会で市民団体を支援するように指示を出したが、直接関与して党同士の対立にはならないようにと注意した。(資料提供:民進黨)

国会多数派奪取へ 国民党議席、最低6議席・安全圏は10議席

『風傳媒』の取材によると、確保済みの20議席に加え、現在リコール団体が危機感を抱いているのは約10選挙区で、苗栗の邱鎮軍・陳超明、台中の顔寛恒・楊瓊瓔、彰化の謝衣鳳、南投の馬文君・游灝、新竹の徐欣瑩・林思銘、新店の羅明才らが含まれる。ただし、見込みがあるのは3選挙区のみで、残りは第2段階の署名基準10%に達するのは難しいと予想されている。

国民党議員の中では葉元之、黄建賓、羅廷瑋、涂権吉らがリコール成功の可能性が比較的高いとされるが、民進党が国会多数派に転換するには国民党議席を少なくとも6つ失わせる必要があり、さらに補欠選挙も成功させるには最低10議席が必要との見方がある。加えて、原住民選挙区の2議席がリコール対象となった場合、差はさらに縮まるため、第3段階の投票結果に対して楽観は禁物とされる。

20250426-台中市長盧秀燕(左二)26日出席「反綠共,戰獨裁」活動。(顏麟宇攝)
國民黨盧秀燕(左二)市長が守る台中地区は民進党にとって重要なリコールターゲットとされている。(資料提供:顏麟宇)

検察の国民党捜査は逆効果か 民進党の重点リコール区が明確に

野党陣営による4月26日の「戦独裁」活動が勢いを増し、検察の虚偽署名捜査が国民党に集中したことで、政治の司法介入という負の印象が青陣営の基盤を刺激し、中間層の世論にも影響を与えている。このため民進党のリコール運動全体の勢いは必ずしも強力ではなく、現在進めている第2段階「20+10」議席の確保も、最終盤での攻勢によってリコール戦線を拡大できるかは不透明である。 (関連記事: 《エコノミスト》台湾放棄論を再提起:トランプは習近平に機会を与え、「実質的に台湾を放棄」する可能性も 関連記事をもっと読む

民進党は選挙区の状況を常に把握しており、組織部主任の張志豪氏が花蓮に、組織部副主任の劉厚承氏が台中に、同じく副主任の邵維倫氏が桃園に入り、中央では副主任の呉忠晏氏が統括している。これらの人事配置から、花蓮・台中・桃園が「重点リコール区」であることは明白である。

20250426-國民黨26日舉行「反綠共,戰獨裁」活動,現場民眾揮舞著國旗。(顏麟宇攝)
検察がブルー勢力のリコール案件を徹底的に調査し、國民黨の426「反緑共、戦独裁」活動(写真)が勢いを増す形になった。(資料提供:顏麟宇)