舞台裏》台湾軍は本当に素晴らしい? 米日シミュレーションは厳しい結果、なぜ漢光演習だけが楽観的な勝利シナリオになるのか

演習で負けても戦場で敗れないため、軍事シミュレーションの目的は弱点を見つけ適時改善すること。写真は台湾の漢光演習。(軍事ニュース社提供)

漢光41号演習のコンピューターシミュレーション(電脳兵推)が14日間の日程で行われている。顧立雄国防部長は演習8日目に、防衛軍(国軍)が戦術を柔軟に運用し、海空協力による一度の成功した統合作戦を達成したことを自ら証言した。しかし軍当局および顧部長は、漢光の電脳兵推は勝敗に関係なく、実戦に近い形で国軍の統合防衛能力を磨くためのものだと強調している。

軍関係者によると、これは米国や日本などの外国軍が直接的な支援を行わず、侵攻する中国軍の動向情報を提供するだけの状況下で、国軍が単独で敵の第一波船団を海上で撃破し、敵の上陸を阻止するという防衛目標を達成したものだという。兵推の結果から見れば、国軍はここ数年の軍備強化が実を結び、戦力が向上していると言える。しかし不可解なのは、この10年間の米国防総省や著名なシンクタンクによる台湾海峡戦争の兵推結果と比較すると、台湾支援の米軍と国軍を合わせても侵攻する中国人民解放軍に「勝利するのは困難」とされる。又、日本の自衛隊が参戦して米日台の連合軍を形成しても「惨勝」という結果になることが多い中、国軍が漢光兵推で敵を阻止できるというのは、あまりにも現実離れした夢のような話に思える。

20250423-國防部長顧立雄23日至立法院備詢。(柯承惠攝)
顧立雄国防部長は漢光電脳兵推が勝敗に関係なく、実戦に近い形で国軍の統合防衛能力を磨くためのものだと強調している。(柯承惠撮影)

米国防総省と重要シンクタンクの兵推 米軍は台湾海峡戦争で優位を保てず

2019年、当時の国家安全会議秘書長だった蘇起は、米国の元国防副長官ロバート・ワーク(Robert Work)の報告を引用し、米軍が台湾をめぐる米中の大規模戦争について密かに兵棋演習を行った結果、18回すべてで解放軍に敗北したと指摘した。『ニューヨーク・タイムズ』記者のニコラス・クリストフ(Nicholas D. Kristof)も「台湾が米中戦争の導火線になる可能性」という特集記事でこの事実を確認している。米国防総省が米中台湾海峡戦争の兵推を集中的に実施し始めた時期は、2016年に台湾で民進党政権が再び発足し、両岸関係が緊張し始めた頃からだと考えられる。 (関連記事: 風評:賴清徳の軍令状 vs 蔡正元の電子手錠 関連記事をもっと読む

ほぼ同時期の2015年から2016年にかけて、米国の著名な軍事シンクタンクであるランド(RAND)研究所は米軍の委託を受け、「米中軍事スコアカード」(The US-China Military Scorecard)報告を完成させた。この報告書は1996年、2003年、2013年、2017年について、台湾海峡と南シナ海における米軍と解放軍の戦力の変化を比較。かつては絶対的優位にあった米軍が、2017年には空中優勢、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、明らかな優位性を保つのはわずか3項目のみとなり、対水上作戦など他の6項目については解放軍と互角か、劣勢に転じていることを示した。このランド研究所の報告は、米国防総省が台湾海峡の兵推で常に優位に立てないのは、実際に根拠があることを裏付けている。