2019年、当時の国家安全会議秘書長だった蘇起は、米国の元国防副長官ロバート・ワーク(Robert Work)の報告を引用し、米軍が台湾をめぐる米中の大規模戦争について密かに兵棋演習を行った結果、18回すべてで解放軍に敗北したと指摘した。『ニューヨーク・タイムズ』記者のニコラス・クリストフ(Nicholas D. Kristof)も「台湾が米中戦争の導火線になる可能性」という特集記事でこの事実を確認している。米国防総省が米中台湾海峡戦争の兵推を集中的に実施し始めた時期は、2016年に台湾で民進党政権が再び発足し、両岸関係が緊張し始めた頃からだと考えられる。
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ほぼ同時期の2015年から2016年にかけて、米国の著名な軍事シンクタンクであるランド(RAND)研究所は米軍の委託を受け、「米中軍事スコアカード」(The US-China Military Scorecard)報告を完成させた。この報告書は1996年、2003年、2013年、2017年について、台湾海峡と南シナ海における米軍と解放軍の戦力の変化を比較。かつては絶対的優位にあった米軍が、2017年には空中優勢、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、明らかな優位性を保つのはわずか3項目のみとなり、対水上作戦など他の6項目については解放軍と互角か、劣勢に転じていることを示した。このランド研究所の報告は、米国防総省が台湾海峡の兵推で常に優位に立てないのは、実際に根拠があることを裏付けている。
海外の重要機関による兵推はすべて厳しい状況を示しているが、台湾の漢光演習兵推はほぼ「攻めれば必ず勝ち、戦えば必ず勝利」と言える。解放軍の侵攻に対するさまざまな想定において国軍が達成した驚異的な戦果について、2025年の漢光41号演習兵推では、海空協力による一度の成功した統合作戦の達成だけでも、実に控えめな表現と言える。ある軍関係者は直言する。国軍の漢光兵推には伝統的に「負けられない」という不文律があり、2020年の漢光36号・5日間の演習のシミュレーションでは、侵攻する中国軍役の戦力が無限大に設定されていても、防衛側の国軍役に敵わなかった。当時の黄曙光参謀総長の戦術的奇襲の下、中国軍が台湾攻撃に投入した50隻の潜水艦はほぼ全滅し、最終的に国軍が形勢を逆転させて大勝利を収めた。(関連記事:風評:賴清徳の軍令状 vs 蔡正元の電子手錠|関連記事をもっと読む)
軍情報筋によれば、過去の漢光演習では確かに作戦想定が政治的に不適切とされ厳しく糾弾された例があるという。2008年の漢光24号演習電脳兵推では、2009年に台湾海峡で戦争が始まった初日に、台湾の海空軍が中国軍によって壊滅し、キッド級駆逐艦までも撃沈され、陸軍だけが戦局を支えるという演習シナリオが即座に大騒ぎを引き起こした。野党民進党の立法委員からは「敗北主義」「北京に頭を下げて屈服した」と厳しく批判され、兵推を計画した軍関係者の処罰が要求された。それ以来、青か緑かどちらの政党が政権を握っていても、軍上層部の心には一つの基準があり、漢光兵推の過程で国軍がどれほど厳しい不利な戦況に置かれても、最終的には逆転勝利という喜劇で終わらなければならない。
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