舞台裏》漢光演習で台湾軍が都市戦に本気、だが重要な配備はまだ未完了

2025-07-20 12:45
「ハン・クァン41号演習」は歴史上最大規模とされ、持久戦の核心である都市戦が今回の大きな注目点。(資料写真、第4作戦区域提供)
「ハン・クァン41号演習」は歴史上最大規模とされ、持久戦の核心である都市戦が今回の大きな注目点。(資料写真、第4作戦区域提供)

史上最長とされる「漢光41号演習」は、7月9日から18日までの10日間連続で実施され、その動員兵力や想定状況の広さで記録を更新した。例年の漢光実兵演習では、共同反上陸、灘岸決戦の想定を完了すると即座に終結していた。2025年には本島の市街戦が加わり、国軍は共軍の上陸成功後の内陸進行時に、どのように地形を利用して遮断し、市街地を依拠して縦深防御を行うかを模擬した。地方政府および民間の力を結集し、重要な基盤施設の防護・防空避難・傷病者救護・後方支援などの課題に取り組み、市街地の防衛耐性を強化し持久戦の目標を達成することを目指した。

台湾の国防戦略の進化を振り返ると、2025年の漢光演習において多日の市街戦演習を組み込むことは歴史的な転換点といえる。国民党の政権時期には、本島での市街戦を考慮しておらず、海空兵力消耗後に共軍部隊の上陸成功を懸念し、終戦交渉に至る想定があった。この姿勢は蔡英文前総統の政権期に「非対称作戦」の方向性を確立し、さらにロシア・ウクライナ戦争と米国の圧力を背景に、国軍は市街戦を台湾海峡防衛の最終段階と位置付けた。

2023年9月に国防部が発表した『国防報告書』では、台湾版市街戦の計画が初めて明らかにされた。国軍は自然地形および人造戦場を利用して縦深防御を行い、「非対称作戦」の方法で共軍の迅速占拠を防ぎ、米日外軍の援助のための時間枠を提供するとした。2024年の漢光40号演習では「分散型」作戦能力の検証が行われ、2025年には国軍の縦深防御と持久戦の核心要素として市街戦が演習の最大の見どころとなった。

漢光演習今(14)日進入第六天,淡水海纜站的演練單位為第三作戰區關渡指揮部以及重要目標防護營,約莫在今天下午2時許,重防營步二連從中華電信機房旁的陣地出來後,徒步進入中華電信並由班長進行戰場說明,入口處則有警戒兵力戒護。(張曜麟攝)
関鍵基盤施設は市街戦兵家の必争地。漢光演習国軍は淡水の中華電信機房で基盤施設防護を行った。(資料写真、張曜麟撮影)

台湾は市街戦そして持久戦も可能か?軍事情勢には疑問が多い

しかし、漢光41号演習での市街戦と持久作戦の組み合わせは、確かに国軍に対する政府や米国の期待に合致するものの、軍内部や軍事情勢では異なる意見が残っている。多くは、市街戦は本島防御の重要要素とはいえ、持久戦と共存するのは難しいと見ている。一方で、台海防衛作戦が市街戦に至る場合、国軍の海空優勢は喪失し、共軍が上陸に成功したことを意味する。この際、国軍主力が市街地に退き、後備部隊と共に防御を展開するも、共軍は増援を続々と送り込み、国軍に持久戦を行う余力はなくなると分析されている。

ある軍関係者は、ロシア・ウクライナ戦争においてウクライナ軍が市街戦を通じてロシア軍の攻勢を遅滞し、持久戦を達成したことは事実だが、台湾の地理はウクライナとは大きく異なり、台湾は狭く人口が密集しているため、市街戦は不利であると指摘する。共軍が台湾に上陸し、空港や港を確保し安全な輸送経路を確立した場合、数日内に兵力を増強することが可能であるからだ。 (関連記事: 論評:なぜ柯文哲は民主国家の囚人となったのか? 関連記事をもっと読む

20250712-台中港陸射劍二防空飛彈。(張曜麟攝)
国防安全研究院の報告によれば、解放軍が台湾を攻撃する際、従来の両用作戦に限らず、多層双超の立体上陸作戦を採用する可能性が高いと警告している。図は台中港陸射劍二防空ミサイル。(資料写真、張曜麟撮影)

台湾はどうやって持久戦を行うのか?戦力保存と防衛耐性が鍵

かつて本島作戦区の指揮官を務めた退役将校は、台湾海峡こそが持久戦の最重要な天然障壁であり、共軍の大規模部隊の上陸を阻止することが防衛の不変の原則だと強調する。国軍は開戦前に戦力保存と分散をしっかり行い、共軍が電撃的な攻撃を仕掛けた際に備えるべきだと指摘。

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