米国のトランプ大統領は16日、新たな貿易上の衝撃を与える発表を行い、米国が近く世界150を超える国々に対し、統一税率を適用する「支払い通知書(notice of payment)」を送付する方針を示した。税率は10%または15%になる可能性があるという。トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「これらの国々は大国ではなく、取引量も多くない。我々がすでに合意している中国や日本のような国ではない」と述べた。この動きは、従来の「個別交渉」から、関税通知による「一括解決」へと舵を切る、トランプ氏の貿易戦略の新たな転換とみられている。
台湾、より低い税率確保を目指す—アメリカの意向は未定ながら全力で争取
この関税の波に直面し、台湾政府は低姿勢で対応しつつ、日本や韓国よりも有利な条件を勝ち取る方針を強調している。関係者によれば、トランプ大統領はまだ台湾を名指ししてはいないものの、今回の税率の適用対象は米国と正式な貿易協定を結んでいない「中小規模の経済圏」とされ、台湾が含まれる可能性は高いという。トランプ氏はさらに「おそらくこれらすべての国に対し、同じ税率を設定するだろう」と付け加えた。
ブルームバーグの報道によると、米側は当初、より多くの二国間交渉を望んでいたが、トランプ氏は現在、税率通知を交渉の代替手段として活用し、手続きや時間の負担を減らす方向に傾いている。このため、台湾が「個別交渉の余地」を持てるかどうかも不透明になっている。
どの国が統一関税の対象となるのか?
トランプ氏とホワイトハウスの顧問チームによれば、今回の統一税率の方針は「まだ交渉を終えておらず、貿易額の大きくない国々」を対象とするという。これらの国は主にアフリカ、カリブ海、そして一部のアジアや中東地域に集中しており、今後は個別交渉を行わず「一律適用」とする方針だと説明している。
統一関税計画の主な特徴:
- 対象:約150の未交渉国
- 税率:推定10%または15%(まだ確定していない)
- 送付方法:アメリカが直接「支払い通知書」関税通知を送付
- スケジュール:8月1日を実施基準日とし、未合意の場合、自動的に関税を適用
- 例外:インド、ヨーロッパは別途処理の可能性、カナダは一時的に除外
トランプが「通知書で交渉を代替」を選んだ理由とは?背後に他の意図があるのか?
トランプ氏は米番組「Real America’s Voice」のインタビューで改めて強調し、「我々はまだ別の協定を結ぶかもしれない。インドとの可能性もあるが、わからない。いまも交渉中だ……しかし我々ができる最良の協定は、一通の手紙を送ることだ」と述べ、複雑な交渉手続きへの嫌気をあらわにした。
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ブルームバーグも報じたところによれば、トランプ氏のチームはすでに約24通の税率通知を発送しており、8月1日から全面的に施行される見通しである。各国がそれまでに協定を結ばなければ、通知に記載された税率がそのまま適用される。この措置は、選挙戦に向けて早期に成果を示そうとするトランプ氏の経済政策の一環と受け止められている。