台湾で「漢光演習」が行われ、頼清徳総統の中南米訪問計画と米国経由の可能性が報じられる中、日本の防衛省は火曜日、2025年版「防衛白書」を公表した。内容は日米同盟や自衛隊の発展状況に加え、日本周辺の安全保障情勢にも触れている。台湾海峡に関しては、中国による台湾周辺での軍事演習を注視し、中国海警の活動が重要性を増していると指摘した。

台湾海峡の平和と安定を再確認
発表に先立つ前週、防衛省は外国メディア向けに特別ブリーフィングを実施した。その場で台湾メディアが台湾海峡の平和や日台関係について質問した際、担当者は「防衛白書には中国が台湾周辺で行っている軍事演習に関する記述がある」と答えた。
日台関係については、政府として特別な新しい試みは進めていないとしながらも、台湾の安全に関する記述を盛り込んだことを明らかにした。台湾海峡の平和と安定は日本政府だけでなく日本社会全体にとって重要であり、双方の問題は平和的な手段で解決されるべきだとの立場を示した。
防衛省は、台湾周辺の軍事活動に関する評価に変化はないと説明しつつ、昨年10月や今年4月を含め、中国が台湾周辺で演習を行った事例が「防衛白書」に記録されているとした。また、「防衛白書」は戦略指針を示すものではなく、2024年度の安全保障環境や防衛省・自衛隊の活動をまとめた年次報告書であることを強調した。

国際協力に焦点を当てる
防衛省の担当者は、今年の「防衛白書」にはロシアによるウクライナ侵略、中国・北朝鮮・ロシアの軍事活動、中東情勢にも言及があると説明した。日本政府は戦後最大の試練に直面しているとの認識を示し、その評価は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」という三つの戦略文書と一致しているとした。
ロシアによる侵略については、日本政府の立場は変わらず、国連憲章を含む国際法への違反であり、国際秩序を揺るがす行為だと位置づけている。また、日本政府は「ヨーロッパの安全と太平洋の安全は密接に関連している」と強調した。
米国については、防衛白書にトランプ政権の安全保障への動向や日米安全保障同盟に関する記述があり、日米両国は引き続き緊密に協力し、自由で開かれた太平洋を実現するための協力を強化する姿勢を確認している。また、志を同じくする国々との多国間・多層的な防衛協力や交流、共同軍事演習など、防衛省の取り組みも紹介されている。

中日間の対立が広がる
中国については、日本政府が「国際社会にとっての課題であり、未曾有の戦略的挑戦」と位置づけ、東シナ海や日本海で活発化する中国の軍事活動に懸念を示した。
2024年8月には中国の航空機が日本の領空を侵犯し、9月には中国海警が領海付近を航行する事案、さらに5月にも日本周辺で中国航空機による領空侵犯が発生した。日本にとってこれらの出来事は重大であり、今回の防衛白書でも連続して取り上げられている。これらの軍事活動が日本の安全保障に与える影響について、防衛省は強い懸念を表明した。
また、今年の防衛白書は、中国軍がロシアとの合同軍事演習に参加する様子も詳述。両国軍による爆撃機の共同飛行や艦船の共同航行など、交流や演習の頻度が増している実態を記している。
中日間の軍事情勢については、中国海警の活動がより重要性を増している点にも注目が集まっているとした。防衛省は、こうした活動の推移を引き続き注視していく考えを示している。
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