台湾セメント(TCC)傘下の三元能源科技が運営する高雄市小港区の電池工場で、14日午前5時ごろ爆発を伴う火災が発生し、従業員や消防士ら11人が負傷して病院に搬送された。これを受けて、高雄市の陳其邁(チェン・チーマイ)市長は工場の全ラインに対して操業停止を命じた。環境保護局によると、同社には最大500万元(約2,400万円)の罰金が科される可能性があるという。
三元能源科技はすでに関連する保険に加入済みであり、損失の詳細については現在確認中だとしている。
台湾セメントは声明を発表し、「工場内の自動スプリンクラーシステムは火災発生直後に作動し、火勢の制御にあたった」と説明。また、火災発生後には関係当局が工場周辺で空気質のモニタリングを開始し、同社としても調査と対応に全面的に協力すると表明した。
さらに、「陳市長、副市長、消防局の担当者が現場に迅速に駆けつけ、的確な指揮を執っていただいたことに感謝申し上げる」と述べたうえで、「今回の事故により地域社会や市民にご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げる。今後は関係機関の監督に全面的に協力し、作業安全と社会的責任のさらなる強化に努めていく」と強調した。
事故発生と初動対応
今回の火災は7月14日午前5時10分に発生。火元は、三元能源科技小港工場内にあるバッテリー半製品の保管エリアで、初回充電作業中だった。
社内の標準作業手順に基づき、直ちに三段階の火災対応措置が実施された:
1. 二酸化炭素(CO₂)による反応抑制
2. 消火用泡剤による火勢抑制
3. 散水による冷却と火勢安定化
同社は午前5時15分に高雄市消防局に通報し、消防隊は5時20分に現場へ到着。46台の消防車と91名の隊員が出動し、迅速に消火活動を開始。企業側との連携により火勢は速やかに制御され、現在は炎は消えており、全面的な冷却と安全監視の段階に入っている。
また、工場内の全員が直ちに避難済みで、消防隊は引き続き現場でモニタリングを継続している。
負傷者と健康対応
今回の事故により、三元能源科技の従業員および消防隊員11名が軽傷を負った。いずれも避難や救助活動中の擦り傷や打撲などで、全員が病院で手当てを受けた後にすでに帰宅しており、入院者は出ていない。
同社は人事部を中心に専用チームを立ち上げ、従業員の心身ケアを実施。必要な健康診断やアフターケアの手配を進めている。
環境モニタリングと今後の対応
三元能源科技は高雄市政府および関連機関と連携し、工場周辺の環境モニタリングを全面的に実施するとしており、必要な情報の提供、検査および評価に応じる方針を示した。
同社は今後、すべての対応が法令に則って進められるよう努めるとともに、地域の環境保護と社会からの信頼回復に向けて取り組むとしている。 (関連記事: 台湾への関税は20%か、それとも30%か トランプ政権の真意にNYタイムズが迫る | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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