インド旅客機墜落に「人為ミス」疑惑 重要スイッチが開かれず…260人死亡の悲劇に

2025-07-13 13:34
墜落したエア・インディアのボーイング787旅客機の残骸。(AP通信)
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エア・インディアAI-171便が先月墜落し、260人の犠牲者を出した事故で、初期調査は機体に明確な欠陥がなかったことを示している。事故原因として有力視されているのは、燃料制御スイッチの操作ミスであり、稀なケースである両エンジンの同時停止が人為的な要因と関係している可能性が指摘されている。

燃料スイッチの操作ミスか 珍しい二重エンジン停止

ウォールストリートジャーナル』や複数の海外メディアによると、米国の航空当局者は、離陸後に推力を失った原因について、エンジンの燃料流量スイッチがオフになっていた可能性が高いとみている。関係者は「偶然か意図的かは不明だが、オフになったまま再びオンにされなかった」と述べており、誤操作の可能性が強まっている。スイッチがオフになると緊急電源装置「ラムエアタービン(RAT)」が作動し、機体が危機的な状況にあることを示す。

墜落したのはボーイング787-8型ドリームライナーで、アーメダバードを離陸後わずか35秒で約650フィート(約200メートル)から急降下。住宅街に突っ込み、搭乗していた241人と地上の19人が死亡。奇跡的に1人が生存した。

ブラックボックス解析が鍵 米機関は人為ミスを視野に

米国家運輸安全委員会(NTSB)や連邦航空局(FAA)、ボーイング、GEアビエーションが技術支援を行う中、機体のブラックボックスからデータの一部がすでに抽出されている。インドの航空事故調査局(AAIB)も、「燃料スイッチの操作ミスによる両エンジン停止」の可能性を今後の報告で焦点とする方針だ。

航空専門誌『Aero』によれば、ボーイングおよびエンジン製造元は、事故後に機械的異常に関する緊急通知を出しておらず、設計・製造上の欠陥は否定的と見られている。事故機を操縦していた二人のパイロットは、それぞれ1万時間と3400時間以上の飛行経験を有しており、インド民間航空局のモホル氏は「これほど稀な事故はない。両エンジン同時停止は前例がない」と語っている。

一方で、米国の関係機関は、インド当局による調査進捗とブラックボックス情報の共有姿勢に不満を抱いているという。情報筋によれば、当初はデータ解析の準備が滞り、米側が技術支援の中断を検討したが、調整の末、後続調査への影響は回避されたとされている。

この未曾有の航空事故は、単なる機械的トラブルではなく、操縦士の判断や操作に焦点が移りつつあり、最終的な調査報告の行方が注目される。

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​編集:田中佳奈