張鈞凱のコラム:「ゆでガエルは台湾自身か?」台湾の婿が語る、両岸関係と政治の無限ループ

2025-07-14 12:55
風傳媒の『下班國際線』番組は2日、司会者の路怡珍氏(左から)、中華新時代智庫基金会理事長の李大壯氏、風傳媒両岸センター主任の張鈞凱氏による対談が行われた。(柯承惠撮影)
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李大壮氏は、両岸関係に関心を寄せる者であれば、その名を一度は耳にしたことがあるはずだ。メディアに登場する際は、多くの場合、中国全国政治協商会議(全国政協)の委員として紹介されており、その所属は全国台湾同胞聯誼会の界別である。彼は張学良の大甥にあたり、この家系についても公然と語ってはばからない。中国本土・台湾・香港の三地を頻繁に行き来する李氏は、最近の台湾訪問において《風傳媒》のインタビューに応じたほか、新番組「下班國際線」にゲストとして出演し、当然ながら両岸関係をテーマに語った。

国際情勢の変化、台湾はどう対処するべきか?

李大壮氏は《風傳媒》の読者および視聴者に向けて自身の見解を語った。その際の肩書は「中華新時代智庫基金会」の理事長であったが、筆者の目には、むしろ台湾の婿という立場から発せられた率直な視点として映った。李氏の妻は台湾出身であり、彼は真実の愛を貫くため、かつては1週間に3度も香港から台湾へ飛び、恋を成就させたという。インタビューの途中、夫人と電話を交わす様子からは、台湾に対する彼の深い愛情が自然と伝わってきた。台北の街並みを語る様子も、まるで自ら暮らしてきたかのような細やかさであった。彼の台湾への「愛」は、恋愛や家族の絆にとどまらず、台湾海峡の平和に対する信念にも根ざしている。「私が言うこと、やること、すべては両岸の平和のためだ。誰がそれを否定できるだろうか?」という彼の自信に満ちた一言が、その姿勢を象徴していた。そうした姿勢ゆえ、李氏との会話には禁忌がなく、あらゆる話題を率直に語り合うことができる。ただし、時には台湾に対する彼の共感や擁護に、台湾人である筆者自身ですら全面的には同意しかねる場面もあった。たとえば、彼が日本統治時代の歴史について語った際には、インタビュー中でなければ反論せざるを得なかったかもしれない。

李氏の台湾政治に対する理解の深さは、しばしば彼が香港出身であることを忘れさせるほどである。筆者が国際情勢、特に米中関係の変動において台湾がどのような立ち位置をとるべきかを問うと、彼は話題を転じるように見せながらも、実は核心に触れるエピソードを語った。今回の台湾訪問で、与野党双方の旧知の政治家たちと会食を重ねたという。その場の話題は「大規模リコール運動」や、2024年に報じられた蕭美琴氏のチェコ訪問中の「交通事故未遂」などに集中していた。彼は話題を逸らしたわけではない。むしろ、胸中には深い憂慮があったのだろう。中国が台頭し、国際社会での新たな役割を模索しているいま、台湾がそれと無関係でいられるはずがないというのが彼の見解である。にもかかわらず、多くの台湾人が政治的対立と内部の争いに精力を費やしており、より本質的な「いかにして生きるか」という問いに向き合えていないことを、彼は案じているようであった。

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