「台湾有事にどう動くのか?」 米国が日本・豪州に「参戦の確約」を要求

2025-07-14 11:10
日本空自F-35A機隊、グアムに到着し初めて「北方対抗25」演習に参加 (自衛隊航空総隊司令部『X』アカウントより)
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米中によるインド太平洋地域での戦略的競争が激しさを増す中、台湾海峡の緊張が再び世界の注目を集めている。英紙『フィナンシャル・タイムズ』が12日に報じたところによれば、米国国防総省はインド太平洋地域において最も重要な同盟国である日本とオーストラリアに対し、圧力を強めている。米国は、台湾を巡って米中間で戦争が勃発した場合、日本とオーストラリアがどのような役割を果たし、どのような行動を取るのかについて明確な姿勢を示すよう要求しているという。『フィナンシャル・タイムズ』は、この率直な要請が日豪両国の当局者を戸惑わせ、困惑させていると伝えており、同時にトランプ政権が台湾海峡における潜在的な衝突に対し、いかに危機感を募らせ、強硬な姿勢を取っているかを浮き彫りにしている。

「具体的な作戦計画」が俎上に 米国防副長官が核心に踏み込む

複数の関係者が英紙『フィナンシャル・タイムズ』に語ったところによれば、今回の圧力外交を主導しているのは、米国防総省で政策を担当するエルブリッジ・コルビー国防次官である。過去数カ月にわたって日本およびオーストラリアの国防当局者と非公開の会合を重ねる中で、コルビー氏はこの敏感な問題を繰り返し提起し、台湾有事に備えた抑止力の強化を同盟国に強く促してきた。しかし、こうした動きは「インド太平洋地域における米国の最重要同盟国2カ国に失望をもたらした」とされる。

関係者によれば、米国が事実上「参戦の確約」を同盟国に求めたことに対し、「東京とキャンベラは不意を突かれた」という。なぜなら、米国自身ですら台湾に対し無条件の安全保障を保証していないからだ。

コルビー氏は自身のX(旧Twitter)アカウントで、国防総省はトランプ大統領の「力による抑止の回復と平和の実現」という方針に沿って動いており、その一環として「同盟国に対し防衛予算の拡充と集団防衛へのさらなる取り組みを促している」と述べた。また、米国防当局の一人は、同盟国との議論の中心にあるのは「あくまでバランスと公平性を重視しながら、抑止力の強化とその加速を図ること」だと説明した。その上で、「我々は戦争を望んでおらず、中国を支配しようともしていない。我々の目的は、外交を支え平和を守るに足る軍事力を米国および同盟国が保持することだ」と強調した。

米国自身が「戦略的曖昧さ」を取る中で、どうして盟友に明確な姿勢を要求できるのか?

長年にわたり、米国は台湾有事に軍事介入するかどうかについて「戦略的曖昧さ(Strategic Ambiguity)」を採用しており、明確な回答を避け続けてきた。バイデン前大統領は在任中に4度にわたって「台湾防衛のため出兵する」と発言したものの、現職のトランプ大統領は歴代政権と同様に、対応方針を明らかにしていない。 (関連記事: 台湾有事は日本有事──小林鷹之議員が台北訪問、顧国防部長と印太戦略を協議 関連記事をもっと読む

米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)」のアジア専門家ザック・クーパー氏は、「同盟国が紛争の具体的なシナリオを把握しておらず、米国自身の対応も不透明な状況では、台湾支援について明確な方針を示すことは難しい」と指摘。「トランプ大統領自身が台湾防衛の約束をしていない中で、米国が他国に明確な関与を求めるのは非現実的だ」と厳しく批判した。

関係筋によれば、コルビー国防次官による圧力は主に日本とオーストラリアの国防当局者を対象としたもので、現時点では閣僚級などの高位レベルには達していないという。別の情報提供者は、この要請に対し日豪を含む複数の同盟国代表が「一斉に眉をひそめた」と当時の衝撃を表現した。

日本の防衛省はこの件に対し、「台湾有事」に関する仮定の質問には「極めて答えにくい」とコメントし、対応は「憲法、国際法および国内法令に基づき、個別具体的な状況に応じて判断される」との立場を示した。オーストラリア駐米大使館はコメントを控えている。

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