米国のトランプ政権による貿易戦争への懸念が高まる中、ビットコインの価格が7月11日に再び過去最高値を更新した。市場では約2%の上昇を記録し、11万8,140.2ドル(約1,920万円)で取引を終えた。これは過去3日間で3度目の記録更新となる。相場の強気ムードが続けば、年末までに20万ドル(約3,250万円)に到達するというアナリストの見通しも、現実味を帯びてきた。
BTC相場と上昇率(Bitcoin/USD)
*台北時間7月11日14:30時点
価格:11万8,140.2ドル
上昇率:+2,218ドル(+1.91%)
Bitcoin hit a fresh record on Wednesday afternoon as an Nvidia-led rally in equities helped push the price of the cryptocurrency higher into the stock market close.
— CNBC International (@CNBCi)July 10, 2025
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#Bitcoin’s record-breaking journey hits $115K!
— Binance (@binance)July 10, 2025
History just made another leap!pic.twitter.com/5mwHxBQT6u
なぜビットコインの価格が上がるのか?
価格上昇の背景には、供給量の制限がある。ビットコインは4年ごとに半減期を迎え、マイニング報酬が半分になる。今年4月20日の半減期では、1ブロックあたりの報酬が6.25BTCから3.125BTCへと引き下げられ、新規発行枚数は年約32万8,500枚から16万4,000枚に半減した。

現在までに1,990万枚がすでに採掘済みで、残りは110万枚を切っている。供給制限が強まる中、次の半減期は2028年4月に予定されており、さらなる希少性が予測される。
ETF(上場投資信託)の登場は、ビットコイン市場に新たな資金を流入させている。ETFや機関投資家、上場企業が市場に出回るビットコインの6%を保有しているとされ、資金流入が現在のペースで続けば、2026年までに市場の流通量はさらに2〜3%減少する可能性がある。市場に流動性がなくなれば、価格は一段と上昇しやすくなる。
米国の5月のコアインフレ率は2023年以降で最も低く、米連邦準備制度理事会(FRB)は3月以降、利上げを見送っている。このため、投資家の間では2026年にかけて利下げが行われるとの期待が高まっている。利息を生まない資産であるビットコインにとっては、金利低下の見通しは強力な追い風となりつつある。

さらに、米国トランプ政権だけでなく、大西洋を挟んだ欧州連合(EU)も本格的に取り組みを始めている。EUは《暗号資産市場規制法》(MiCA=Markets in Crypto-Assets)を推進し、仮想通貨関連企業にライセンスを発行する制度を整備。27カ国の加盟国を対象とする「巨大な統一市場」の形成を目指している。規制が整備されることで、投資家保護が強まり、リスクが軽減されるため、欧州の年金基金や機関投資家の参入が一段と加速するとみられている。
市場アナリストらは強気の見通しを示し、現在のトレンドが維持されれば、ビットコインは2025年末までに20万ドル(約3,250万円)に達する可能性があると予測している。一方で、一般投資家に対しては慎重な姿勢も呼びかけている。仮想通貨は地政学リスクや国際経済の影響を受けやすく、必ずしも一本調子で価格が上昇するとは限らないため、大幅な下落にも備える必要があるという。