内幕》民進党高層は以前から林岱樺との調整を望んでいた?「防風林」が形成され 高雄市長予備選は単純化へ

民進党の立法委員林岱樺が助手手当問題で発覚し、緑営の高雄市長予備選に変数を投じた。(資料写真、陳昱凱撮影)

2026年の高雄市長選挙への出馬意向を示していた民進党の林岱樺立法委員は、助手手当の詐取疑惑などで、立法院事務所と地方事務所が捜査当局の家宅捜索を受け、取り調べ後21日未明に100万台湾ドルの保釈金で釈放された。この事態は2026年の民進党高雄市長候補者指名戦に変数が生じることとなった。党幹部は、林岱樺は独自の路線を行く性格で、党内各派とは疎遠であり、上層部は当初から調整を試みる意向であったが、林岱樺の勢いが衰えない場合、他の立候補者たちで「防風林(防風壁)」を形成し、一致団結して林氏と対決、林以外の最有力候補の勝利を目指す可能性があると指摘している。

民進党の予備選制度について、党幹部は『風傳媒』に対し第一、二、三類公職候補者指名世論調査方法」の規定を説明。大統領、直轄市長、県市長選挙では「対抗馬比較方式」のみを採用する。対抗馬の選定は特定の優先順位に従い、まず予備選候補者が認める対抗馬、次に主要対抗政党が正式に指名した候補者を考慮するとしている。これは党内予備選では対抗馬との世論調査で勝負を決めなければならないことを明確に示している。

この党幹部は先日の『風傳媒』による高雄市長選の世論調査を例に挙げ、民進党内の調査ではまず対抗馬との比較を行い、全員に勝った場合に支持率の高低を比較するが、対抗馬との差は比較しないと説明。そのため、党内の邱議瑩立法委員の支持率32.7%は林岱樺氏の31.9%をわずかに上回り、民進党規則では差ではなく支持率を比較するため、邱議瑩氏が林岱樺氏をリードしているとされる。

20250220-高雄地檢署20日搜索民進黨立委林岱樺立院辦公室。(顏麟宇攝)
高雄地方検察署が20日に民進党林岱樺立法委員の立法院事務所を捜索。(資料写真、顔麟宇撮影)

独行性の強い林岱樺氏に地方から異論 幹部は調整を意図

民進党の高雄地方関係者は、林岱樺氏が正国会に加入しているものの、その性格から他者との関係構築が常に困難だったと指摘する。実際、2020年の韓国瑜市長リコール後、現職の陳其邁高雄市長が「高雄奪還」を掲げて林氏の選挙区で街頭活動を行った際、林氏が欠席するという事態が発生し、多くの地方関係者が私的に林氏に対して強い不満を抱いているという。

そのため、この期間、林岱樺氏の世論調査での支持率が高かったにもかかわらず、党幹部が仲介に乗り出し、党内の立候補希望者たちが共通候補を擁立して林氏の指名阻止を図ることを期待している。特に国民党から高雄市長選への出馬が最も有力視されている柯志恩立法委員は、最近、国民党と民衆党による立法院での総予算凍結解除削減の影響を受けているものの、一定の存在感を保っており、民進党にとって2026年の高雄市長選は容易な戦いとはならないだろう。 (関連記事: 林岱樺議員の捜査は黒幕の仕業か?郭正亮氏が柯文哲案との類似性を指摘:地方の確執が関係か 関連記事をもっと読む

20250220-國民黨政策會執行長柯志恩20日出席「2025民生議題調查系列:長照保險制」民調發布會。(顏麟宇攝)
国民党政策会執行長の柯志恩は国民党高雄市長の有力候補とされている。(資料写真、顔麟宇撮影)

邱議瑩氏の勢い上昇 高雄予備選の情勢が明確化

林岱樺氏以外では、与党内部で邱議瑩氏の勢いが徐々に上昇していることが観察されており、中央評議会主任委員を務める賴瑞隆氏も積極的に活動を展開。現在、幹部が望む共通候補の姿が次第に浮かび上がってきている。陳其邁市長は公に支持を表明しないものの、2025年2月7日に高雄で開催された邱議瑩氏の「生命の温かい戦歌」新書発表会で陳市長は応援に駆けつけ、同性婚支持の際に邱氏が「立法委員など大したことではない、人権・自由の方が重要だ」と述べたことを引用し、困難な状況下でも理念を貫く姿勢を評価。もともと邱議瑩氏を強く支持する蘇系に加え、陳其邁市長の発言にも肯定的な意味合いが感じられる。