『雨の中の情欲』東京国際映画祭コンペティション部門に 金鐘奨・助演女優賞の李杏「監督の特別な指導」を明かす

日台合作映画『雨の中の情欲』の上映会。俳優の李杏(左から)、成田凌、中村映里子が上映後のイベントに出席。(黄信維撮影)

『岬の兄妹』で知られる片山慎三監督の新作『雨の中の情欲』が、2024年東京国際映画祭のコンペティション部門に選出。台湾の金鐘奨(​ドラマアカデミー賞)助演女優賞受賞の李杏も出演している。昨年11月30日、上映後には主演の成田凌、中村映里子、李杏の3名が舞台挨拶とアフタートークに参加。観客から演技指導について質問があり、李杏は特に「まばたきをゆっくりするように」と監督から指導されたことを明かし、「今までにない経験で、とても興味深かった」と語った。

本作は2023年3月に台湾の嘉義市で撮影され、漫画家・柘植義春の短編漫画を原作としている。売れない漫画家の義男、魅惑的な離婚女性の福子、そして作家を自称する伊守の間で繰り広げられる激しい性愛と奇妙な共同生活を描く。成田凌が義男を、中村映里子が福子を、李杏が俳優の森田剛演じる伊守の妻・春美を演じる。李杏は「以前から片山監督との対談の機会があり面識があった。参加できて光栄」と述べた。

演技指導について、成田は「細部にわたる指示があり、走る時に肘を曲げないようにという要求は、義男の生活における特質を表現している」と語った。李杏は「まばたきのスピードについて、今まで指導されたことがなかった。監督のキャラクターに対する想像が非常に明確で完璧だからこそ、そこまでの細部が見えるのだと思う。私にとって全く新しい感覚で、とても良い経験だった」と述べた。中村は「福子は設定上汗をかきやすいキャラクターなので、体に多くのオイルを塗った」と明かした。

台湾でのロケについて観客から質問があり、成田は「監督からの要求が大変でしたが、それも楽しみの一つでした」とユーモアを交えて答え、他の役を演じたいかという質問には「もう十分です」と率直に答えた。李杏は「台湾南部は暑かったものの、夜半になると寒くなった。中村さんの衣装が薄手のキャミソールだったので、台湾での撮影が大変ではないかと心配だった」と振り返った。また「日本人俳優との共演は全く問題なく、とても楽しい経験だった」と語った。

『雨の中の情欲』は日本と台湾の共同制作作品で、ラブストーリーを軸にスリラーやコメディなど複数のジャンルを横断する作品。本作は東京国際映画祭のコンペティション部門で初上映された。上映前の朝は雨が降っていたことから「『雨の中の情欲』にふさわしい雨の日にご来場いただき、ありがとうございます。私にとって重要な作品であり、皆様の心に残る作品となれば嬉しく思います」と述べた。​

編集:佐野華美