中国による日本産水産物の全面禁輸が解除される見通しとなった。日本外務省は5月30日、福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出を巡る問題について、中国側と輸出再開に必要な技術的条件に関して合意に達したと発表した。今後は中国側が国内の手続きを完了すれば、輸出再開が実現する可能性があるとしている。
処理水放出を契機に全面禁輸 1年ぶりの大きな進展
福島第一原発のALPS(多核種除去設備)処理水が2023年8月に海洋放出を開始したことを受け、中国政府は「食品安全上の懸念」を理由に、日本からの水産物の輸入を全面停止した。
日本側は、処理水の放出が科学的に安全であり、国際原子力機関(IAEA)の監視下で行われていると繰り返し主張してきたが、中国の禁輸措置は継続されていた。
IAEA枠組み下で協議継続 政府間対話が進展の鍵に
状況打開に向け、日中両国は2024年9月に「日中間の共有認識」を共同発表し、10月からはIAEAの枠組みのもとで追加のモニタリング措置を開始した。
その後も、11月の日中首脳会談、12月の上川陽子外相による訪中、2025年3月のハイレベル経済対話などを通じて、日本政府は中国側に禁輸解除を強く求め続けてきた。
5月に技術協議合意、再開は中国側の手続き次第
日本の外務省と農林水産省によると、2025年3月以降、両国は輸出再開に向けた技術協議を継続しており、5月28日に北京で行われた第4回協議で、技術的要件に関する正式な合意に至ったという。
今後は、中国側の国内行政手続きが完了すれば、輸出再開が実現する見通しだとしている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 脱原発の代償?火力発電で大気汚染悪化 医師会が「寿命短縮」に警鐘 | 関連記事をもっと読む )
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