歴史新ニュース・六四》「ゴルバチョフが来た」 1989年6月4日前の1か月 新ニュース北京現場直撃・天安門学生運動

2025-06-04 13:08
1989年天安門学運、抗議学生と市民が民主主義の価値を高く掲げ、その後北京政権が市民を虐殺した六四事件が発生した。(新ニュース資料写真)
1989年天安門学運、抗議学生と市民が民主主義の価値を高く掲げ、その後北京政権が市民を虐殺した六四事件が発生した。(新ニュース資料写真)

なぜこの報道を振り返るべきか

1989年5月中旬、中共総書記胡耀邦の逝去を悼む活動により引き起こされた北京天安門学生運動は、一ヶ月経過した。5月15日から18日にかけて、当時のソ連の指導者ゴルバチョフが北京を訪問する予定であり、中共当局が天安門広場に溢れる学生たちをどのように処理するか、その対応が抗議に参加している場内外の中国人の緊張を引き起こした。

天安門学運が始まって以来、台湾政府が当時メディアの中国訪問を解禁した政策のため、『新新聞』は常に記者を北京に駐在させて報道していた。5月15日から18日のゴルバチョフ訪中は取材の最重要事項であった。同情する学生に対する中共高官趙紫陽が「辞職させられた」、さらには軟禁されたとされ、北京の政治活動が異常であると感じさせた。

天安門広場に集まる抗議者は増えており、学生に限らず、中国国務院総理の李鵬は北京市が「無政府状態」であると言った。『新新聞』は北京現場の記者によれば、「北京全体がデモに参加している錯覚を感じた」と書いた。20日後、天安門広場の血しぶきは、中国の民主化が単なる幻に過ぎない現実を残忍に語っている。(新新聞編集部)

溜まった感情がついに爆発した。

中国国務院総理の李鵬でさえ、北京市が「無政府状態」であると認め、市内の交通はほとんど麻痺し、多くの工場は労働者が全員デモに参加するために操業を停止した。すでに2000名の学生が絶食によって倒れたが、天安門広場周辺の人々はカーニバルのように喜び、高らかに歌っていた。

​果てしなき大地の浮沈、誰が主となるか

5月18日の午後、デモが最高潮に達した。東長安街にある北京で最も古いホテル「北京飯店」の正面には、「声援」と書かれた大旗が掲げられた。また、10階建てのビルの高さに相当する長い白い布には「蒼茫大地誰主沈浮、民主と自由は全人類の共通の理想」と書かれていた。

「北京飯店」の正面には、中国遠洋運輸会社の古い茶色の建物に「小平休息」や「愛国無罪」、「V」形のシンボルを掲げた布が張り出され、中でも最も長い布には「世界各地を巡る中国船員からの声援メッセージ。」と書かれている。

この2棟の大きな建物では、窓から顔を出して、道路下のデモ隊に歓声を送る人々がいた。

六四天安門事件前夕、北京、1989年、八九六四、8964。(新新聞資料照)
1989年、六四天安門事件前の天安門広場学生運動。(新新聞資料照)

どこに置かれているかわからないスピーカーからは、この一ヶ月で何度も歌われた「インターナショナル」が繰り返し流れていた。

その歌声の中で、東長安街には約100万人の市民がデモ行進をしていた。彼らは歩いたり、自転車に乗ったり、トラックに乗って走り抜けたりしていた。それぞれが大きな赤い旗、竹竿に白い布を張り、小さな三角旗や「声援」という言葉を書いた小さな紙を持っていた。手を振り、声を上げ、足を進めながら、皆同じ目標に向かって──天安門へと進んでいた。 (関連記事: 「中華民国」の名前は消されるのか──台湾のアイデンティティはどこへ向かう? 関連記事をもっと読む

​人波、潮のごとく天安門に集う

「北京焦化廠」の労働者たちは、「人民が神であり、神は全てを支配する」と書かれた布を掲げて急いで通り過ぎた。

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