「六四は中国近代史上最も暗い一日」 台湾・民進党が犠牲者追悼し中国を批判

2025-06-04 12:18
2024年6月4日、六四天安門事件から35年にあたり、複数の市民団体が台北市の中正記念堂で追悼集会を開催した。(写真/陳昱凱撮影)
2024年6月4日、六四天安門事件から35年にあたり、複数の市民団体が台北市の中正記念堂で追悼集会を開催した。(写真/陳昱凱撮影)
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1989年の中国・天安門事件から6月4日で36年を迎えた。台湾の与党・民主進歩党(民進党)は同日、「六四天安門事件」の犠牲者を追悼し、民主や自由、人権を求めて行動してきたすべての中国人に敬意を表する声明を発表した。

「中国政府はいまだ歴史と向き合わず」

民進党は声明の中で、中国政府が現在に至るまで六四事件の歴史と向き合う姿勢を示しておらず、反省もないまま、むしろ専制的な体制を強めていると批判した。

一方で、近年の中国各地における民主・自由・人権・法治を求める市民の声は絶えることがないとし、「中国人民の政治改革とより良い生活への希求は、決して消えていない」と強調。「中国共産党が意図的に『消し去ろう』としてきたこの日、私たちは六四事件の犠牲者を追悼し、過去から現在に至るまで自由と民主のために闘ってきた人々に心から敬意を表する」と述べた。

「六四は中国近代史上最も暗い一日」

民進党は、国際社会と中国市民の多くが1989年の民主化運動を、政治改革への出発点と期待していたと指摘する。しかし中国共産党による「野蛮な弾圧と大規模な清算」によって、その希望は潰え、「中国近代史上、最も暗い一日」を迎えることとなったと批判。

「天安門の母親」ら遺族はいまだ癒えぬ痛みを抱え続けており、事件以降、中国共産党の一党独裁体制はさらに強化され、人権の抑圧は一層深刻になっているとした。

また、「極権的手法」や「デジタル権威主義」の道具を駆使し、思想・言論の自由を封殺。異議を唱える市民や団体への迫害が続いており、中国の人々は今も「恐怖と闇の中に生きている」と表現した。

「中国は世界最大の威権輸出国」 対外行動にも言及

声明では、中国政府が国内外で引き起こす影響にも言及。過去と現在の暴力的行為を隠蔽するだけでなく、インド太平洋地域や世界各地で「新たな恐怖と脅威」を生み出しているとした。

民進党によれば、中国当局は「長臂管轄権」を主張し、海外に「秘密警察拠点」を設置。中国系スパイや暴力団を用い、在外中国人や香港人、ウイグル人、チベット人に対し「越境的な弾圧」を展開していると非難した。

さらに、黄海・東シナ海・台湾海峡・南シナ海など第一列島線で軍事演習や「グレーゾーン行為」を繰り返しているとし、台湾に対しても「懲罰的22条」といった脅迫的な統一戦線戦略で圧力を強めているとした。

その上で、「中国共産党は現在、世界最大の威権主義輸出国であり、恐怖を生み出す存在、そして民主主義の破壊者だ」と厳しく批判した。

「台湾の主権と民主を守る」 国際連携にも言及

最後に民進党は、こうした状況に対し「国家の主権と民主主義を守る立場を堅持する」と表明。「平和のための四本柱」政策の下、防衛力の強化、経済的レジリエンスの向上、そして国際社会との協力を深めることにより、抑止力を確保し、地域の平和と安定を実現すると訴えた。

そして「36年間、中国の人々は普遍的価値と政治改革への希望を捨てなかった。台湾もまた、自由と民主を守る道をあきらめない」と強調した。 (関連記事: 六四事件36年・劉暁波ノーベル賞から15年 東京で記念集会「劉暁波とは何者か」開催 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

台湾ニュースをもっと深く風傳媒日本語版X@stormmedia_jp

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