台湾・陸委会の邱垂正主委は先日、立法院で「すべての公務員を対象に法規制を検討しており、中国大陸への渡航には事前許可が必要になる」と明らかにした。その後、関連する修正案がすでに行政院に提出されたとの情報もある。国民党所属の立法委員、葛如鈞氏は「賴政権の対応はまさに『堅壁清野』だ。陸委会は赤線を引きすぎており、ここまで厳しくする必要はない」と指摘した。陸委会は『風傳媒』の取材に対し、「両岸条例」の改正に関し、公務員および特定の身分にある者の大陸渡航を具体的に規制する方向で検討を進めている。内部検討が終了次第、法定の手続きを経て外部に向けて告知・説明を行う予定だと説明した。
現行の法規では、11等級以上の公務員が中国大陸を訪問する際には、事前に申請し許可を得る必要がある。また、公立学校の教員については、校長、学部長、研究所長、主任などの行政職を兼務している場合に限り、事前申告が義務付けられている。しかし、陸委会の邱垂正主委は先週、立法院での答弁の中で、基層の公務員も含めたすべての公務員が、大陸訪問時には事前に申告し許可を得る制度とするよう、法改正を検討していると明らかにした。また、関係者によると、陸委会はすでに関連する改正草案を行政院に提出しており、「両岸人民関係条例」や「香港・マカオ条例」の修正が含まれているという。これにより、中国、香港、マカオを訪問するすべての公務員に対し、事前の申請と許可取得を義務づける方針だ。
国民党の葛如鈞立法委員は『風傳媒』の取材に対し、「最近の賴政権のやり方は、まさに『堅壁清野』だ」と述べた上で、陸委会は本来の行政機関から「レッドライン(越えてはならない一線)」ばかりを引く機関へと変質し、教育部など他の省庁にも影響を及ぼしていると批判した。最近では、最前線で働く多くの教員たちが、陸委会からの行政文書を各機関経由で転送されており、その中では「公務員は平日・休日を問わず、いかなる目的であっても中国大陸を訪れる場合は、必ず事前に登録し、審査と許可を得なければならない」との要請が伝えられているという。しかし実際には、各公立機関や学校にはそれぞれ異なる制度があり、勤怠管理システムも統一されていない。さらに、教員が行政職を兼務していない場合、現行法の下では中国大陸を訪れるのに許可や承認は必要とされていない。
葛如鈞氏は、現在、教育部も陸委会の対応が最前線の教員に大きな混乱をもたらしていることを認識していると指摘した。さらに、教員が中国大陸の身分証や居住証を所持しているかどうかまで確認するような、イデオロギー的な「レッドライン」を引く行為について、「線を引きすぎて目が血走っている」とまで批判し、「そこまでする必要はない」と語った。
また、葛氏は、台湾には他にも重要な課題が山積していると強調。エネルギー安全保障や科学技術の発展、さらには為替変動を含む経済情勢の変化への対応など、行政チームは「レッドライン引き」にばかり目を向けるのではなく、より多くの市民が関心を寄せる問題にも目を向け、理解を深めるべきだと訴えた。 (関連記事: 独自》台湾海軍・海巡で中国身分証保有 陸委会が発覚・処分 | 関連記事をもっと読む )
編集:柄澤南
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp