チエさんインタビュー:夢だった日本生活、そして「好き」が仕事になるまで

2025-06-01 15:37
台湾・桃園出身で、現在は東京在住のチエさん。留学を経て日本で就職し、翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している(写真/Andy)。
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台湾出身で現在東京に暮らすチエさん。台湾・桃園(とうえん)から日本への留学を経て就職し、現在は翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している。「風傳媒」のインタビューでは、来日の動機や在学中の苦労、そして弓道・コーヒー・写真など多彩な趣味について語ってくれた。

アニメから始まった日本への憧れ

台湾・桃園出身で現在東京に暮らすチエさん。日本への留学を経て就職し、現在は翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している。写真/Andy
台湾・桃園出身で、現在は東京在住のチエさん。留学を経て日本で就職し、翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している(写真/Andy)。

多くの人がそうかもしれませんが、私も子どもの頃にアニメやアイドルにハマったことがきっかけでした」。チエさんは、小学校卒業後の空白期間に日本語を学び始めた。当時、母親が若い頃に日本語を勉強していたことも影響し、自然と興味を持つようになったという。「ジャニーズに夢中になって、雑誌を買っても日本語が読めなかったんです。だから、勉強しようと思いました」。

一度は経済的な理由で留学を断念したが、大学卒業後に資金を自力で貯め、日本での生活をスタートさせた。

「翻訳ができる」とは限らないと痛感

​当初は「言語ができれば翻訳もできる」と思っていたが、実際に翻訳・通訳の専門学校に通ってみると、思い通りにはいかなかった。「メモの取り方、記憶力のトレーニング、逐次通訳の技術。どれも予想以上に難しくて、自分の語学力の限界を痛感しました」。現在はシャドーイングやニュース音読、日常的な日本語の再構成練習を通じて、少しずつスキルを積み上げている。

弓道・コーヒー・写真、「好き」がつなぐ人との縁

​写真や弓道、カフェ文化など、日本での生活と結びついた趣味もチエさんの大切な一部だ。「弓道はずっと日本独自の文化だと思っていたので、台湾では学べないと思っていたんです。でも、SNSでたまたま学んでいる人を見つけて連絡したら、台湾でも習えると知って、すぐに申し込みました」。

台湾・桃園出身で現在東京に暮らすチエさん。日本への留学を経て就職し、現在は翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している。写真/Andy
台湾・桃園出身で、現在は東京在住のチエさん。留学を経て日本で就職し、翻訳・通訳の分野で新たな一歩を踏み出している(写真/Andy)。

コーヒーに関しては、スターバックスでのアルバイトをきっかけに、豆や抽出方法、ラテアートに魅了されていった。「バリスタとして働く中で、インスタグラムで知り合った人にラテアートを見てもらってアドバイスを受けたり、自分の映像を送り合ったりするようになりました」。写真は、母親の影響で始めたという。「フィルムカメラには“温度”があるって母に言われて、その言葉がずっと印象に残っていて。日常の何気ない風景も、カメラを通して見ると全く違って見えるんです」。

日本生活の厳しさと向き合って

​留学生時代を振り返ると、「物価と税金の高さには本当に驚きました」と語る。専門学校の課題や通訳実習は想像以上に重く、アルバイトとの両立も簡単ではなかった。「でも私は時間をきっちり分けるタイプ。誰かに誘われてもスケジュールを優先しました」。台湾と日本の違いについては、「台湾の方が物事がスピーディーに進むと感じることが多いです」としつつ、「日本の丁寧さにも意味がある」と冷静に語った。 (関連記事: 《SSFF & ASIA 2025》別所哲也と小池百合子が対談:「東京」を再定義する短編映画の力、優秀賞はイタリア作品『外人』に決定 関連記事をもっと読む

SNS運営と仕事の経験から見えてきたこと

かつてはSNSの運営に力を入れていたが、日系企業で広報業務を担って以降、プライベートの更新は控えめに。「帰宅後もSNSを触りたくなくなってしまって。今はただ自分の「好き」を共有する場にしています」。前職の広報としての経験は、自身の働き方にも影響を与えている。「社内外の人と交流する中で、自分は人と関わる仕事が好きなんだと気づきました。それと同時に、語学力がまだまだ足りないことも痛感しました」。