アジア最大級、かつ米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」の第27回が、5月28日より東京にて開幕する。それに先立ち、映画祭代表で俳優・監督としても活躍する別所哲也氏が5月15日、小池百合子東京都知事を表敬訪問した。映画祭の開催概要や今年のテーマ、優秀賞の発表、そして東京都と連携した新作映画について語り合い、東京の魅力と国際文化交流の可能性を改めて世界に向けて発信した。
「27年という長きにわたる継続こそが、まさに力だと実感しています」と小池知事は挨拶の中で語り、SSFF & ASIAがアジアの短編映画文化を牽引する重要な存在であることを強調した。「映画を通じて人々に感動や喜びを与えるこの映画祭が、ますます多くの方々に親しまれることを期待しています」と述べた。
別所氏は、映画祭が1999年にスタートし、2004年から東京都との共催となってアジア部門が設立された経緯を説明した。今年は108の国と地域から4,592本の応募があり、うち約250本が上映予定となっている。200本以上の作品では生成AIが活用されているという。「私自身俳優としてAIに対する不安を感じたこともありますが、創造のパートナーとしてAIと共に映像の未来を拓いていきたい」と語った。
Cinematic Tokyo部門 優秀賞は『外人(Gaijin)』
東京をテーマに、東京の魅力を多角的に表現した作品を世界中から公募する「Cinematic Tokyo部門」は、2016年に東京都との協力により設立され、今年で9年目を迎える。今回は44の国と地域から197作品の応募があり、その中から選ばれた5作品の中で、イタリアの監督ミケーレ・モッゾ(Michele Mozzo)氏による『外人』が優秀賞(東京都知事賞)に輝いた。
『外人』は、東京に暮らす7人の外国人の視点を通じて、都市と自己のアイデンティティの交差点を描いている。サイレント映画の形式とナレーションを用い、東京の街並みを詩的に映し出した作品だ。「『外人』という言葉が持つ日本社会における意味への気づきと、そこに住む"外"の視線から見た東京の姿が、非常に魅力的に表現されていた」と別所氏は語る。
![[SSFF & ASIA 2025 ]](https://new-storm-public-resource.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/gallery/2054072/OUq8vGnnZNRWjx6ETtMNJd0QFA1YBa0uWYwzArAb.jpg)
モッゾ監督は受賞コメントとして、「この賞は私一人のものではなく、『外人』という作品にインスピレーションを与えてくれたあらゆる思考や記憶、目に見えない断片に光を当てるものです。東京というこの作品の"心臓"で受賞できたことに、チーム一同心から感動しています」と感謝の言葉を述べた。 (関連記事: JR東日本主催「TAKANAWA WORLD FESTIVAL」 高輪ゲートウェイで世界を旅する1日を体験 | 関連記事をもっと読む )
記者質問:『イカゲーム』監督も輩出、映画祭が果たす役割とは?
会談後には記者による質疑応答も行われた。映画祭の社会的な広がりについて問われた別所氏は、「『イカゲーム』のファン・ドンヒョク監督も、無名時代に当映画祭に短編作品を出品し、観客賞を受賞した経験がある」と紹介した。加えて、27年という長い歴史の中で、観客がボランティアになり、次世代へとつながる文化的な継承が生まれているとも語った。