全国的なコメの供給逼迫と価格高騰への不満が高まる中、日本政府においても閣僚人事の動きがあった。21日夜、元首相・小泉純一郎氏の息子であり、かつて安倍晋三氏と並ぶ人気を誇った自民党の「スター議員」小泉進次郎氏が、正式に農林水産大臣に就任した。就任記者会見では、政府備蓄米の販売制度を全面的に見直す方針を打ち出し、「仮に需要があった場合は、無制限に出す。」と表明。国民生活の安定を最優先に取り組む考えを示した。
小泉農林水産大臣は、石破総理大臣からの任命に際し、「随意契約」による備蓄米の販売活用を検討するよう指示を受けたと明かし、来週予定されていた公開入札の中止を決定。農水省の事務方に対し、速やかに現実的な対応案の策定を求めたと述べた。「まずはコメの価格を下げることを実現する。消費者が主食であるコメを適正価格で購入できるようにすることが、最も緊急の課題だ」と語った。
また、米国との農業関税交渉についても、「農業を犠牲にしないという方針のもと、国益の確保に向けて関係省庁と連携してしっかりと対応していく」と強調した。
今回の人事は、前任の江藤拓農水相による問題発言を受けたものだ。NHKの報道によれば、江藤氏は18日、自民党佐賀県連が佐賀市で開催した「政経講座」に出席した際、「私はコメは買ったことはありません、正直。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどあります、私の家の食品庫には」と発言。これが「国民の苦しみに寄り添っていない」と強く非難され、大きな波紋を呼んだ。
江藤氏は後に発言を撤回し謝罪したが、世論の怒りは収まらず、石破政権は急ぎ人事調整に着手。21日夜には江藤氏の更迭が内定したと報じられた。江藤氏は昨年10月の石破内閣発足以来、スキャンダルで辞任する初の閣僚となった。もともと低迷していた内閣支持率へのさらなる打撃となり、7月の参議院選挙まで2カ月を切る中、政権運営の先行きは一層厳しさを増している。
小泉農林水産大臣は神奈川11区選出で、衆議院議員を6期連続で務めている。かつて自民党農林部会長として農協改革を推進し、昨年の衆院選では選挙対策委員長として陣頭指揮を執るなど、政策・選挙の両面で豊富な経験を持つ。今回の急遽入閣が、石破政権の立て直しや農業政策の安定、さらに選挙情勢の改善につながるか、政界やメディアの注目が集まっている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 新たな農相に小泉進次郎氏を起用へ 米価対策に注目集まる | 関連記事をもっと読む )
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