2025年5月21日、石破総理大臣は、江藤農林水産大臣の辞任に伴い、自民党前選挙対策委員長の小泉進次郎氏を新たな農相を起用する意向を固めた。これは、昨年10月に発足した石破内閣にとって初の主要閣僚交代となる。小泉氏は、急騰する米価への対応という難題に直面することになる。
江藤前農相の失言と辞任
江藤農林水産大臣は、佐賀県での講演で「私はコメを買ったことはありません。支援者の方がたくさんくださるので、まさに売るほどあります」と発言し、物議を醸した。米価が高騰し、国民の生活が圧迫されている中でのこの発言は、農業や消費者への配慮を欠くものとして批判を浴びた。野党だけでなく、自民党内からも辞任を求める声が上がり、江藤農林水産大臣は21日に辞表を提出し、受理された。

令和米騒動、米価高騰の背景と政府の対応
農林水産省によると、全国のスーパーで販売されている白米の5kgあたりの平均価格は4,268円で、前年同期の2,108円から倍増している。この「令和の米騒動」とも呼ばれる価格高騰の主因は、異常気象による収穫減、肥料や農業資材の価格上昇、国際的な穀物価格の高騰などが挙げられる。政府は、備蓄米の市場放出や輸入米の導入などの対策を講じているが、価格の安定には至っていない。
小泉新農相の課題と期待
小泉進次郎氏(44歳)は、神奈川県第11区選出の自民党衆議院議員で、父は元首相の小泉純一郎氏。2019年には安倍内閣で環境大臣を務め、昨年9月の自民党総裁選では初出馬ながら第3位の得票を得た実績がある。農業政策にも精通しており、農協改革にも関与してきた。
石破総理大臣は、小泉氏の若さと実行力に期待を寄せており、米価の安定や農業政策の再構築を託している。しかし、参議院選挙を控えたこの時期における閣僚の失言と辞任は、内閣支持率の低下を招く可能性があり、石破政権にとって試練の時となる。 (関連記事: 日米関税交渉が第3ラウンドへ 赤澤亮正氏が再訪米も「日本の存在感に陰り」? | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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