台湾の小学校前で車が突入 子ども含む12人負傷3人死亡、「また高齢運転」に怒りの声

台湾・新北市三峡区北大小学校前で重大な交通事故が発生。(写真/映像からの引用)
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【三峽の交通事故】児童を含む12人が負傷、3人死亡の大惨事

2025年5月19日午後4時4分頃、新北市三峽区の北大国小(小学校)付近の国成路と国光街の交差点で、78歳の男性運転手が運転する乗用車が突然暴走し、下校中の児童や保護者らの群衆を次々と轢く重大事故が発生した。現場は放課後の時間帯で、多くの学生が横断歩道を渡っていた。事故により12人が負傷、そのうち3人が死亡、7人は心肺停止状態で緊急搬送された。負傷者の多くは三峽国中(中学校)や北大国小の児童・生徒であり、幼稚園児も含まれている。

消防隊は迅速に出動し、複数の救急車で負傷者を近隣の恩主公病院、土城長庚病院、亞東病院などに搬送。重症者は集中治療室で治療を受けている。現場では救急隊員が倒れた児童に対しCPRを行う緊迫した様子が見られた。

加害者は78歳の高齢運転手 過去にも事故歴、今回は信号無視で暴走か?女性ライダーを狙ったか?

運転手の余文正(78歳)は、事故直前に別の車両と接触し、そのまま逃走を試みた疑いがある。監視カメラ映像では、余氏が左折時に分離帯に接触し、さらに後方の車にぶつかってから急加速し、わずか1分後に重大事故を起こした様子が確認されている。目撃者によれば、車両は猛スピードで赤信号を無視して交差点に進入し、人々を次々とはねたという。警察の調べで酒気帯びは否定されているが、運転手は過去にも違反歴が多く、5年前にも歩道に乗り上げてベビーカーを押す母親に衝突する事故を起こしていたことが明らかになっている。

また、事故直前の映像からは余氏が明らかに女のバイクライダーを狙って衝突した可能性が指摘されており、ネット上では「故意の殺人行為」との批判が強まっている。事故現場では、余氏の車が分離帯に衝突し、その後女ライダーを追いかけて加速、最終的に多数の人を巻き込む惨事となったと推測されている。

新北市三峡区の北大国小前で重大な交通事故が発生した。(図/記者爆料網)
台湾・新北市三峡区の北大国小前で重大な交通事故が発生した。(図/記者爆料網)

犠牲となったのは優等生の女子中学生 学校側は心理支援体制を強化

死亡した3人のうち2人は三峽国中の同じクラスの女子生徒で、いずれも成績優秀でクラスのリーダー的存在だった。校長や教務主任は、家族や生徒たちへの心理的ケアを約束し、学校全体で支援体制を整えている。事故により多くの児童や保護者が深い悲しみに包まれている。

新北市教育局は事故直後に校安対策を発動し、被害を受けた生徒や家族に医療支援や心理ケアを提供。新北市長侯友宜も複数の病院を訪問し、負傷者の回復を見守っている。

新北市三峡区の北大国小前で重大な交通事故が発生した。(図/記者爆料網)
台湾・新北市三峡区の北大国小前で重大な交通事故が発生した。(図/記者爆料網)

行政院長が「安全ネットの見直し」強調 通学路の再整備を指示

行政院長の卓栄泰は事故の重大さを受けて現場の病院を訪問し、「安全ネットの見直しが必要」と述べた。事故原因の徹底調査を指示し、交通安全体制の強化や学校周辺の安全対策の改善を約束した。また、被害を受けた子どもたちや家族、学校関係者への心のケアを行政と教育機関が連携して行う方針を示している。

警察は事故原因究明のため、監視カメラ映像の解析や車両検査、運転手の健康状態調査を継続中。信号機の動作状況や道路環境の安全性も含めて総合的な検証が進められている。

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