台湾関税、10%未満は困難か 専門家が指摘「残された2つの対応策」 政府の迅速な対応求める声

2025-05-16 19:12
淡江大学の両岸関係研究センター主任、張五岳氏も指摘するように、台湾を含む各国は「10%未満は不可能」であることを認識すべきである。台湾は免税リストと重要項目の削減に焦点を当てるべきであり、特に半導体や工作機械などの高付加価値分野で行うべきである。(合成画像)
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​米中がジュネーブで貿易協定を締結し、双方が高関税を大幅に引き下げることで合意した。米国は145%から30%へ、中国は125%から10%への引き下げを決定。市場の関心は台湾が直面する可能性のある税率圧力に移っている。総体経済学者の呉嘉隆氏は「鈔前部署」番組で分析し、「台湾の重要な製造業の地位を考慮すると、最終的に台湾関税は10%から15%の範囲になる可能性がある」との見方を示した。

​台湾がトランプの貿易戦略で重要な位置づけ

呉嘉隆氏によると、トランプ氏が推進する「アメリカ再工業化」政策において、重点国は日本と台湾だという。特にチップとAI技術分野で台湾は米国にとって不可欠なパートナーとされる。米国側が交渉で台湾に圧力をかけているものの、「それは戦略的操作に過ぎず、実際には台湾の製造業優位性に依存せざるを得ないため、台湾産業に深刻な打撃を与えることは現実的でない」と分析している。

台湾の対米関税交渉への対応策

中信金控首席経済学者の林建甫氏は、「米英および米中の交渉結果から、『下限』が10%で『上限』が30%であることが示されている」と指摘。一方、淡江大学両岸関係研究センター長の張五岳氏は、「台湾を含む各国は『10%未満は実現困難』であることを認識すべきだ」と警告。台湾は「免除リストと重要プロジェクトの減免、特に半導体や工作機械などの高付加価値分野に焦点を当てるべき」との見解を示した。

​他の潜在的リスクにも警戒を

​中経院地域発展センター長の劉大年氏は、「米国は通常の対等関税のほかに、232条項に基づく国家安全保障調査関税を実施しており、これは半導体や重要鉱物の分野を含み、その影響はより広範囲に及ぶ可能性がある」と警告。また、「台湾が将来的に地域経済貿易協定への参加を目指す場合、開放条件はさらに厳しくなることが予想されるため、政府は事前の対応策を講じる必要がある」と指摘した。

交渉は「順調」も予断を許さない状況

米財務長官のベサント氏は最近サウジアラビアで、「アジアのパートナー、台湾を含む貿易交渉が順調に進展している」と述べ、台湾が「非常に良い提案」を行ったと評価した。これに対し林建甫氏は、「現状は90日の猶予期間に過ぎず、米中交渉も真の和解ではない」と指摘。「今後フェンタニル問題や市場開放の争点が解決されない場合、関税調整が変更される可能性もある」との見方を示した。張五岳氏も、「30%を『上限』と見ることはできるが、真の課題はこれからだ」と強調している。

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