JDI、1500人削減を発表 11年連続赤字で国内従業員のほぼ半数が失職の危機に

ジャパンディスプレイの工場外観。(JDI公式サイトより)
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中小型液晶パネルの老舗メーカー「ジャパンディスプレイ」(Japan Display Inc.、JDI)は15日、11年連続の最終赤字を受けて経営コストの削減を図るため、日本国内で1500人の人員削減を実施する方針を明らかにした。これは国内従業員のほぼ半数に相当し、大規模なリストラとなる。同時に、スコット・キャロン(Scott Callon)会長兼CEOは業績不振の責任を取り、6月1日付でCEO職を辞任する意向を表明。6月21日の株主総会での承認を経て、今後は執行権のない会長職に就き、無報酬で経営支援を続ける予定としている。

「日経アジア」によると、JDIは今後、希望退職を募る形で従業員に優遇退職プランを提供し、年間で約1350億円(約9250万ドル)に相当する人件費の削減を目指す。また、リストラは国内にとどまらず、海外拠点でも実施される可能性があるとしている。

​JDIは声明で、「当社の最優先課題は構造改革とコストの見直しにあり、事業規模に見合った組織・人員体制の構築を進める」と説明。3月末までに、JDIは日本国内で約2600人の従業員を雇用している。

連続赤字11年

​​こうした中、JDIは車載ディスプレイ事業の分社化を今年10月に予定しており、この部門は同社売上の3分の2以上を占める中核事業。分社化後は外部資金の調達や他社との連携も視野に入れる。また、生産拠点の再編も進めており、2026年3月までに千葉県茂原市の主力工場を閉鎖し、石川県の工場に集約することで、重複や無駄の削減を図るとしている。​

液晶パネル大手「ジャパンディスプレイ」のスコット・キャロン会長(JDI公式サイトより)
液晶パネル大手「ジャパンディスプレイ」のスコット・キャロン会長(JDI公式サイトより)

JDIは2012年にソニー、東芝、日立の中小型液晶ディスプレイ事業を統合して誕生。東京都港区に本社を置き、政府系ファンドの産業革新機構が主要株主を務める。かつては世界最大級の中小型パネルメーカーとして存在感を示していた。

2025年3月期の連結決算によれば、売上高は1880億円(前年同期比21.4%減)、営業損失は370億6800万円に上り、赤字幅は前年から拡大した。現時点では、再建計画の成果が見通せないことから、2026年3月期の業績予想の公表は見送られている。

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