抗戦勝利も笑えず 蔣介石の誤算と「二人」への憂慮が内戦敗北招く

2025-08-18 10:20
長風文教基金会は16日、「抗日戦争勝利80周年」記念講演を開催し、スタンフォード大学フーバー研究所の研究員、郭岱君氏を講師として招いた。(写真/顏麟宇撮影)
長風文教基金会は16日、「抗日戦争勝利80周年」記念講演を開催し、スタンフォード大学フーバー研究所の研究員、郭岱君氏を講師として招いた。(写真/顏麟宇撮影)
目次

今年(2025年)は抗日戦争勝利から80周年にあたる。長風文教基金会はこの節目を記念し、米国スタンフォード大学フーバー研究所を退任したばかりの抗戦史研究者・郭岱君氏を招き、16日に「烽火未歇―抗戦勝利から山河分裂への岐路」と題する特別講演を開催した。講演は《風傳媒》と聯経出版が共催したものである。郭氏は蔣介石の日記の原文を引用し、抗戦勝利にもかかわらず蔣介石が「少しも喜びを感じなかった」ことを指摘した。日記の中で最も頻繁に登場する語は「憂」と「辱」であり、その背景には「ロシア(スターリン)」と「共産党(毛沢東)」への強い懸念があったと説明した。これらの不安は、国内各地での受降処理や東北の旧領土の接収に大きな影響を及ぼしたという。

国民政府の撤退続き、東北の受け入れに困難

まず国内の側面について、郭岱君氏はこう述べた。1945年の抗戦末期、国民政府は各地で敗走を重ね、西南の一角に退くしかなかった。一方で中共は日本占領区に次々と根拠地を築き、土地改革を実施し、幹部を養成するなどして勢力を拡大していたため、国民政府にとってこれら地域を戦後に接収することは極めて困難であった。さらに東北では日本が傀儡国家「満州国」を樹立しており、西南に逼塞する国民政府の手は到底及ばず、戦後に立ちはだかる二大難題となった。

郭氏は具体的な数字を示しながら強調した。1937年当時、八路軍は4万人余の編制にすぎなかったが、1945年には60万人規模の主力部隊にまで膨張した。新四軍も当初の1万人余から26万人にまで増強されていた。さらに中共は華北、華東、華南など敵後地域に19の解放区を築き、1億人の人口を統治、日本占領区の67%の土地を掌握していたのである。「国民政府軍は全く力を及ぼせず、兵力を送り込むこともできなかった。極めて深刻な挑戦であった」と郭氏は述べた。

国際的側面について、郭氏は「天意弄人、万般無奈(運命に翻弄され、どうしようもなかった)」という八字を用い、「ソ連要因」を説明した。ソ連は1945年8月9日に対日参戦を宣言したが、そのわずか翌10日、米国が日本に原子爆弾を投下したため、「ソ連は実に幸運であった。参戦からわずか15時間で日本は降伏した」と語った。しかし当時、ソ連軍はすでに東北に進駐しており、容易に撤退するはずもなく、これもまた国民政府にとって大きな難題となったのである。

1945年8月6日,人類史上第一顆原子彈轟炸日本廣島,奪走約14萬人性命,為當時廣島35萬總人口的40%。(美聯社)
1945年8月6日、米軍は日本の広島市に原子爆弾を投下した。これは人類史上初めての核兵器による空襲であり、約14万人が死亡した。3日後には長崎市にも2発目の原子爆弾が投下され、最終的に日本は降伏し、第二次世界大戦は正式に終結した。(写真/AP通信提供)

恩を仇で返すが政策ではなく、緩和の真意

実際には、戦勝後に連合国はこの戦争を国民政府が戦ったものと明確に認め、マッカーサー(Douglas MacArthur)を含む各国の指導者は、日本は国民政府に降伏すべきだと表明した。当時、日本派遣軍総司令の岡村寧次や汪精衛政権の軍隊は直ちに連合国の命令に従い、蔣介石およびその代表に降伏した。郭岱君氏によれば、蔣介石は抗戦以前から「反共」を日本と共に行う必要があるならば、日本と敵対関係を解き、和解する道も考えていたという。

最新ニュース
「OHTANI DAY」第4弾 世界限定5枚の直筆サインジャージと「世界唯一」のWWEチャンピオンベルト発売
台湾文化イベント「TAIWAN PLUS」大阪で再び熱狂 台湾グルメ・雑貨に行列、文総「日本の友人が期待する台湾IPに」
「台湾少年と日本少年—台日漫画・百年邂逅」国際交流展が盛大に開幕 台日漫画世紀交流の新篇章を展現
阿部マリアも来場 台湾文化祭「TAIWAN PLUS 2025」、4日間で来場10万人突破 台湾グルメに行列
抗日戦争勝利80周年 抗戦史研究者・郭岱君氏「原爆なくても日本は敗北、中国は不敗」
ノーベル平和賞が欲しい!ノルウェーメディアが報じる:トランプ氏、ノルウェー財務相に電話し関税と「受賞の可能性」を議論
順風満帆が一転暗転? ゼレンスキー氏、政権最暗黒の時を迎える:側近擁護で国内の反汚職看板を破綻、トランプ氏にアラスカ和談からも排除され
【ゴルフ】山下美夢有選手、全英女子オープン初制覇を語る 支えてくれた家族や北陸のファンに感謝
台湾女性、渋谷スクランブル交差点で写真撮影 日本のネットユーザーは反発
共和党が「台湾カード」を放棄?トランプ氏が早くも「彼」を意思疎通の橋渡し役に決定 政府が孤立化の恐れ
台湾の夜市でおすすめ屋台料理:北部の冷製おつまみ 多彩な組み合わせが可能!
中国、西南国境に「鉄壁の要塞」 新蔵鉄道着工で中印摩擦に新たな変化
インド・モディ首相、農民保護と国内生産を強調 米国関税に対抗姿勢
トランプ氏の関税戦争は成功か 台湾の元立法委員・蔡正元氏が警告「米国に2つの深刻な結果、世界は備えを」
自民・河野太郎氏、参院選敗北は「有権者に届かなかったメッセージ」と指摘 党執行部の刷新求めFCCJで講演
【独占インタビュー】一青妙|10年かけて完成した長編小説『青色之花』 家族と記憶が交錯する真実を描く
<独占インタビュー> 台湾インディーズバンド浅堤ボーカル・依玲さん、初のエッセイ集を刊行
台湾・台中市が「鳥取しゃんしゃん祭」に参加 日台の観光・文化交流を深化
台湾・頼清徳総統が「終戦」を強調 医師で評論家の沈政男氏「親日的な台湾独立の歴史観」
2週間で資産が90億ドル増加?ソフトバンク孫正義氏、AI熱で日本長者番付2位に浮上
北京観察》終戦80年を外交舞台に 台湾問題を持ち出した対日批判は異例
TICAD9開幕目前に東大教授の遠藤貢氏が講演 アフリカの現状と国際関係、日本の関与のあり方を分析
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)、8月20日から横浜で開催 日ア共創の新時代へ
ゲッティイメージズ、「サステナビリティは企業が主導すべき」と日本人の8割が回答 ビジュアル表現のポイントを提示
日本の歴史学者:日本政府が第二次世界大戦の戦争犯罪に責任を負いたがらない
オーストラリアで中国系「慰安婦」銅像除幕 戦争の記憶継承
台北観光スポット》台北101の魅力再発見 高さごとに変わる絶景の表情
参政党・神谷代表が靖国参拝 終戦80年の日に「日本軍の中国侵略は虚構」発言も再浮上
大阪「We TAIWAN」終盤戦、台湾発「魔法のテント」大阪に上陸 残り5日でほぼ満席、没入型物語体験が話題
終戦80年 全国戦没者追悼式 石破首相「反省」強調、天皇陛下は恒久平和呼びかけ
陸文浩の視点:米露首脳がアラスカで対峙、中露海軍の合同巡航が直撃
中国有力学者「武力統一ならTSMCは国有化」 一国二制度は適用せず
夏一新の視点:台湾・頼清徳総統、米国の20%関税、台湾に衝撃 頼政権の後手対応に批判噴出
風評:頼政権の「二国論」憲法解釈、矛先は中国出身配偶者に 職解任も
舞台裏》台湾・国民党主席選、台中市長が不出馬 反朱立倫派は対抗馬擁立へ
驚愕!エアアジア航空便が仁川ではなく金浦に着陸、乗客と乗務員も驚く
天気予報》再び台風発生か 専門家「ダブル台風」形成の恐れ 週末は猛暑の可能性
H20輸出許可の裏で米中駆け引き激化 NVIDIAに中国使用制限の打撃
トランプ・プーチン会談、アラスカで15日開催 トランプ氏「数分で交渉の見通し判断」
トランプ政権、親中批判から一転 インテル出資を極秘協議 TSMC誘致に続く半導体戦略か
神社の踏切で台湾人女性死亡 観光撮影中に列車と衝突か
親台派日本紙が賴清德氏を批判 大規模リコール「与党掌握」の予測外れる
北京観察》終戦記念日前夜、靖国参拝が外交問題に 日中関係に再び亀裂か
台湾・柯文哲氏の拘置所生活 獄中で軍事要人の著書を精読 書き込みが示す次の一手
「領土割譲和平」は誰の発案か 『エコノミスト』が暴く米特使の失策と交渉悪化の経緯
長崎原爆式典、台湾代表席めぐり波紋 「NGO区」報道に市が反論
トランプ氏、プーチン氏に停戦迫る構え 米露会談はアラスカ軍事拠点で 領土交渉権はゼレンスキー氏に
中露の極秘軍事協定が流出 プーチン氏、中国の台湾侵攻演習支援か 8年越し計画の存在明らかに
台湾外交部長・林佳龍氏が高市早苗氏と会談 日本政権交代を見据えた賭け 中国反発で外交リスクも
トランプ氏、ノーベル平和賞受賞の可能性?元側近が明かす国務省のプレッシャーと各国の強力な推薦