米国のドナルド・トランプ大統領は8月15日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談する。会場はアラスカ州アンカレッジにある「エルメンドルフ・リチャードソン統合基地(Joint Base Elmendorf-Richardson)」で、冷戦期にはソ連の軍事活動監視や核の脅威探知の拠点だった。現在もF-22「ラプター」戦闘機が配備され、ロシア軍機の迎撃任務を担う。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のジャンセン専門家は、この場所の選定が高い安全保障を確保すると同時に、抗議活動の影響を最小限に抑えられると指摘。トランプ氏にとっては米国の軍事力を誇示する象徴的な場ともなる。
領土より停戦を優先
複数の欧米当局者によれば、トランプ氏は13日、欧州各国首脳とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とのオンライン会議で「いかなる領土の分割も議論しない」と明言。「停戦の実現を最優先とする」と強調したという。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領もこの発言を確認。トランプ氏は「ウクライナの領土は交渉の余地がなく、領土問題の交渉はウクライナ大統領のみが行える」と各国に周知させた。参加国の共通認識は、停戦を和平交渉に先行させ、領土に関する協議はウクライナが直接行うべきというものだ。
停戦拒否なら「重大な結果」
トランプ氏は米露会談を前に、プーチン氏が停戦を拒否した場合は「重大な結果」を招くと警告した。詳細は明かしていないが、ロシアへの経済制裁強化を検討していると述べた。
今回のアラスカ会談は、ゼレンスキー氏を交えた三者会談の「準備」と位置づけられており、進展があれば直ちに第2ラウンドの交渉を開始する方針だ。
関連タイムラインと会談の文脈
日時 | イベント | 重要内容 |
---|---|---|
2024 大選期間 | トランプ氏の選挙公約 | ロシア・ウクライナ戦争の迅速な終結を約束 |
2024/11 | 米メディア報道 | 領土交換案で合意を目指す意向が報じられる |
2025/08/13 | ビデオ会議 | トランプ氏が欧州首脳・ゼレンスキー氏に領土問題を議論しないと保証 |
2025/08/15 | アラスカ会談 | 停戦を議論する予定、領土紛争は回避 |
会後可能 | 第二回会談 | トランプ氏がプーチン氏とゼレンスキー氏の三者会談を希望 |
ウクライナと欧州の立場
ゼレンスキー大統領は会議で、プーチン氏の停戦姿勢は「虚勢」に過ぎず、会談前に前線で圧力をかけようとしていると指摘。戦後の合意には安全保障条項が不可欠であると強調した。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は「国境は武力で変更されてはならない」という原則を再確認し、アラスカ会談で進展がなければ欧米はさらに圧力を強めるべきだとの見解を示した。ギャラップ社の世論調査では、69%のウクライナ国民が戦争の早期終結を望む一方、大きな譲歩による平和には否定的な姿勢を示している。
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