台湾海峡での戦争を背景にした台湾オリジナルドラマ『零日攻撃(ゼロ・デイ)』が、8月15日午前0時から日本のPrime Videoで配信を開始する。初回配信は第1話で、8月17日には第2話と第3話を同時配信。その後は台湾と同時に毎週更新される予定だ。
7日、東京・新宿の「109シネマズプレミアム新宿」では、作品の特別上映会と記者会見が開かれ、台湾の俳優・連俞涵(リエン・ユーハン)、楊大正(ヤン・ダーゼン)、脚本顧問の林錦昌(リン・ジンチャン)、プロデューサーの鄭心媚(ジェン・シンメイ)、監督の蘇奕瑄(スー・イーシュエン)が登壇した。
当初出席予定だった日本の俳優・高橋一生は、急な仕事の都合で来場できず、書面コメントを寄せた。「出演を予定していましたが、急な仕事のため参加できず、楽しみにしてくださった皆様、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます」と謝意を表明。脚本構成や物語の緊張感に強く惹かれたとし、「現代アジアの緊張情勢を扱いながらも、政治的立場の主張ではなく、架空の物語を通じて現代人の選択や葛藤を描いた作品です。登場人物の感情や深みを感じていただければ」と語った。
政界からは、李逸洋(リー・イーヤン)代表や日華議員懇談会の古屋圭司会長、木原稔事務局長ら、台湾と親交の深い国会議員、在日台湾同郷会の王紹英会長らが出席。李代表は「『零日攻撃(ゼロ・デイ)』は架空の物語だが、台湾が直面するハイブリッド戦、偽情報、通信戦などの脅威をリアルに映し出している。安倍晋三元首相の言葉通り、台湾有事は日本有事であり、危機は台湾だけでなくインド太平洋全体の平和と安定に関わる」と強調した。
古屋会長は、日台間に正式な外交関係はないものの、議員外交を通じた長年の交流実績を紹介し、「日台国際結婚の台湾籍配偶者が戸籍に『台湾』と記載できるようにしたことは、単なる技術的問題ではなく人権と尊厳の表れだ。民主主義国家は協力して中国の軍事的脅威を抑止すべきだ」と述べた。
王会長は「戦争が起こるかどうかは神様のみぞ知る。しかし台湾が中国に併合されれば、私たちが勝ち取った民主と自由は失われる」と警鐘を鳴らし、本作が日本社会に台湾の現状を理解させ、国際的な支持を広げる契機となることを期待した。
連俞涵は、高橋一生との共演について「劇中では言語の壁がある設定ですが、登場人物同士に愛があるので言葉は障害ではなかった。目線や仕草だけで感情を伝えられるのが演劇の力」と語った。15年ぶりに再会した設定で演じる元恋人役の楊大正は、「初めて会った時、『完敗だ』と思ったので、あとは祝福するだけ」と冗談交じりにコメント。さらに、自身が所属するバンド「滅火器(Fire EX.)」が9月に再来日公演を行うことを明かし、観客に来場を呼びかけた。
プロデューサーの鄭心媚は、台湾での初回配信時に配信プラットフォームのランキング1位を獲得したことを報告。「台湾で高く評価され感謝しています。日本の視聴者にも共感してもらえれば」と述べ、高橋の演技へのこだわりも紹介。「セリフについて『これは中国の普通話ですか、それとも台湾の中国語ですか』と細かく確認するなど、非常に丁寧だった」と語った。
『零日攻撃(ゼロ・デイ)』は台湾公共テレビとLINE TVの共同製作で、総製作費は2億3000万台湾ドル(約11億2000万円)。全10話のオムニバス形式で、中国による台湾への軍事行動発生後、社会のあらゆる層が直面する複合的な危機を描く。物語はネット遮断、デジタル監視、メディア浸透、軍事配備など、台湾が直面するグレーゾーン戦やハイブリッド戦をリアルに表現。出演者は台湾、日本、香港から集まり、連俞涵、莊凱勛(チュアン・カイシュン)、陳妤(チェン・ユー)、高橋一生、水川麻美(みずかわ・あさみ)、杜汶澤(チャップマン・トー)らが名を連ねている。 (関連記事: 第21回大阪アジアン映画祭、全66作品が決定 台湾・香港・韓国の注目作が集結へ | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp