ロサンゼルス豪邸から22人の赤ちゃん 中国人夫婦に代理出産・人身売買疑惑

2025-08-09 18:15
生まれたばかりの赤ちゃん。(写真/著者提供、iStockより)
生まれたばかりの赤ちゃん。(写真/著者提供、iStockより)
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22人の赤ちゃん、9つの寝室、監視カメラが仕掛けられた豪邸——米ロサンゼルスで前例のない代理出産事件が明るみに出た。中国人夫婦が「大家族を築きたいだけ」と主張しながら代理出産会社を運営し、短期間で複数の代理母と契約して大量の赤ちゃんを「誕生」させていたとされる。

ウォール・ストリート・ジャーナル』が8月6日に報じたところでは、発端は虐待が疑われる乳児の搬送だった。FBIの捜査で、児童虐待や代理母への虚偽説明、さらには人身売買の可能性まで浮上。出産した代理母の多くは、子どもが最終的に誰の元へ渡るのか全く知らされていなかった。

児童虐待から浮上した「豪邸のベビーファクトリー」

今年5月、生後2カ月の乳児が頭部内出血で病院に運ばれ、警察が捜査を開始した。ロサンゼルス郊外アルカディアの白い豪邸を訪れた捜査員は、9つの寝室に15人の乳幼児を発見。さらに数日以内に近隣住宅からも6人の赤ちゃんが見つかり、合計で22人に達した。

8月6日付『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、これらの赤ちゃんは全米各地で短期間に誕生したにもかかわらず、すべて38歳のシルビア・張氏と65歳の郭軍宣氏という中国人夫婦の名義で登録されていた。2人は「夢の大家族を作るため」と説明しているが、警察は豪邸が代理出産会社「Mark Surrogacy」の拠点であり、張氏が責任者を務めていることを突き止めた。

監視カメラ映像には、保育スタッフが乳児を平手打ちする場面や、重傷を負った赤ちゃんを乱暴に揺さぶる様子が映っていた。事件発覚後、夫婦は一度逮捕されたが4日後に釈放。現在はFBIが捜査を進めている。張氏は取材に対し「赤ちゃんを売ったことはない。大切に世話している」と否定する一方、複数の代理母は「契約時、不妊夫婦のためと説明されたが、張氏が既に多くの子どもを持っていることや、子どもが誰に渡るかは知らされなかった」と証言している。

米国の商業代理出産市場は年間数十億ドル規模で、規制の緩さと需要の高さから、特に中国からの資金流入が顕著だ。2014〜2020年の統計では、米国の代理出産依頼者の約3分の1が海外からで、その41%が中国だった。一部の業者は「米国国籍が取得できる」と広告し、富裕層向けに事業を展開している。

Mark Surrogacyが中国当局と直接関係を持つかは不明だが、夫婦が実際に何人の子どもを持つのか、自宅で代理出産事業を運営する理由、外部顧客を受け入れているかなど、疑問は多く残されている。張氏はこれらの質問に対し、取材のたびに回答を拒むか曖昧な態度を見せている。 (関連記事: 台湾・児童虐待事件の公判で死刑存廃論争が再燃 朱立倫氏「民進党は公平正義を無視し、死刑廃止を主張」 関連記事をもっと読む

「不妊夫婦を助けると思っていた」代理母の証言

『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、Mark SurrogacyはSNSで「不妊夫婦、同性カップル、国際家族、シングルペアレンツ」を支援するとして代理母を募集していた。複数の代理母がFacebook経由で張氏のチームにリクルートされ、「ロサンゼルス在住の子どもを持てない中国人夫婦の代理出産者を探している」と告げられたという。

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