台湾政府は今年5月、第三原子力発電所(通称「核三」)の2号機を停止し、正式に「脱原発国家」への道を歩み始めた。しかし、台湾民衆党が発起した「核三再稼働」に関する住民投票が、8月23日に実施される予定となっている。これに関連し、台湾メディア《風傳媒》が実施した世論調査によると、58.7%が「再稼働に賛成」と回答し、21.6%が「反対」とした。
この住民投票案は「第三原子力発電所が主管当局により安全性に問題がないと認定された場合、運転を継続する」との趣旨を掲げている。調査結果では、「非常に賛成」30.2%、「やや賛成」28.5%を合わせて58.7%が賛成。一方、「あまり賛成しない」10.4%、「全く賛成しない」11.2%を合わせて21.6%が反対と回答し、「わからない/未回答」は19.7%にのぼった。
クロス分析によると、「再稼働に賛成」の割合が高いのは、男性、桃園・新竹・苗栗や中部地区(台中・彰化・南投)、30~39歳および60~69歳、大卒以上の学歴を持つ層、また国民党または台湾民衆党支持者に多かった。一方で、「反対」の割合が高いのは、台北市、雲林・嘉義・台南、あるいは高雄・屏東・澎湖地域の住民、専門学校卒、民主進歩党(民進党)支持者などだった。

住民投票への参加意欲については、「必ず投票に行く」としたのは42.1%、「たぶん行く」が23.0%で、あわせて65.1%が投票の意向を示した。一方、「たぶん行かない」は11.4%、「絶対に行かない」が14.0%、「未定/無回答」が9.5%だった。
投票意欲の強さについても、「必ず投票に行く」と答えた人のうち、男性、台北市在住、60~69歳、大学院卒、国民党または民衆党支持者の割合が高い傾向にあった。

特に注目されるのは、「再稼働に賛成」と回答した人のうち54.1%が「必ず投票に行く」としており、「たぶん行く」26.3%を合わせると約8割が投票の意向を示した。一方、「反対」とした人では「必ず行く」が43.0%、「たぶん行く」が16.1%と、賛成派に比べて投票意欲がやや低い。
この結果から、全体の25%以上が「核三再稼働に賛成し、かつ必ず投票に行く」と回答しており、反対派を上回る勢いであることがわかる。現時点の世論状況では、住民投票が可決される可能性が高いと見られている。

今回の調査は《風傳媒》の委託により台湾指標社が実施。調査期間は2025年8月1日から4日までで、全国22県市の18歳以上の男女1,068人を対象に実施された。有効回答は全体で1,068サンプル。信頼水準95%における誤差は全体で±2.0ポイント、六大都市別では±3.0ポイント。調査手法はCATI(コンピューター支援電話調査)を用い、固定電話と携帯電話の両方を対象とするランダム抽出で実施された。
編集:柄澤南 (関連記事: 台湾「脱原発政策」は正解だったのか? 海外メディアが「電気料金高騰」「自滅行為」と警告、米国の反応に注目 | 関連記事をもっと読む )
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