台北の夏の夜を彩る一大イベント「2025大稻埕サマーフェスティバル」が8月6日夜、絢爛な開幕を迎えた。夜空を切り裂くように打ち上げられた「百鳥雷鳴」の第一発の花火を皮切りに、台北市・大稻埕には約6万8千人の観客が詰めかけ、川岸の特設会場で夏の幕開けを祝った。

オープニングを飾った300秒間の特別花火ショー「萬紫埕紅」は、単なる打ち上げ花火ではなく、綿密に演出された“空中劇場”として観客を魅了。色が変化する二重の菊型花火、虹のような滝、星が降り注ぐような光の演出、さらにはW字型と冠菊が同時に炸裂する大規模な紫の波。最後は金色の滝が夜空を包み込み、感動的なフィナーレを迎えた。視覚だけでなく、観る人の心をも揺さぶる、まさに五感で楽しむ演出となった。
花火の余韻が残るなか、ステージでは音楽パフォーマンス「千埕萬語」がスタート。台湾を代表するロックデュオ「動力火車(パワーステーション)」が力強くも優しい歌声で会場を包み、世代を超えた共感を呼んだ。続いて羊駝小姐、薩麥爾SMYなど、多様なスタイルのアーティストが出演し、夜風とともに音楽の波を届けた。

また、台湾ウォルト・ディズニー社のプロデュースにより、百年の歴史を持つ赤レンガの商店街は「大稻埕レトロおもちゃ店」に様変わり。河岸公園には巨大なウッディやバズ・ライトイヤー、ロッツォなどディズニー&ピクサーの人気キャラクターが登場し、歴史ある街並みに遊び心をプラス。世代を問わず多くの来場者が記念撮影に列をなし、それぞれの“ピュアな瞬間”を楽しんだ。
これだけの人出にもかかわらず、台北市政府と主催チームの緻密な運営により、会場周辺の交通は整然と保たれ、午後8時45分には規制がスムーズに解除。25日間にわたるサマーフェスティバルの安定したスタートを支えた。
空、音楽、視覚、ノスタルジー、そして最新カルチャー——さまざまな要素が融合した「大稲埕サマーフェスティバル」の初日は、まさに“感覚のフェスティバル”。単なる花火大会にとどまらず、あらゆる細部にまで配慮が行き届いた、全世代に向けた没入型の夏祭りであることが証明された。
なお、開幕を見逃した方もまだ間に合う。8月13日と20日には、台北・大稻埕埠頭でテーマ別の花火ショーが再び開催される予定だ。幻想的な台北の夏夜に、もう一度酔いしれてみてはいかがだろうか。
編集:梅木奈実 (関連記事: トイ・ストーリー×花火×歴史街区!台北「大稻埕サマーフェス」8月開催へ 台北の夜空に「埕彩千輪」咲く | 関連記事をもっと読む )
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp