舞台裏》頼清徳氏、罷免再戦に強い執念 「8・23罷免」へ民進党が標的を絞り攻勢継続

2025-08-05 12:45
726の大規模な解任は失敗したが、総統兼民進党主席の賴清德氏(写真)は、民進党中央と党所属者に対し、823の解任を全力で支援するよう同常会で命じた。(写真/顏麟宇撮影)
726の大規模な解任は失敗したが、総統兼民進党主席の賴清德氏(写真)は、民進党中央と党所属者に対し、823の解任を全力で支援するよう同常会で命じた。(写真/顏麟宇撮影)
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7月26日に実施された立法委員(国会議員)に対する第1弾の罷免投票では、民間団体主導の罷免運動と与党・民進党が大敗を喫し、対象となった24名の国民党議員はいずれも議席を維持した。罷免票が法定ライン(有権者の25%)を超えたのはわずか7選挙区にとどまり、まさに「完封負け」と言える結果であった。

この結果を受け、罷免運動を支援してきた聯電(UMC)元董事長・曹興誠氏も「第2弾(8月23日)は見送る」と発言、民進党への不満を露わにした。総統・頼清徳氏の支持率も急落し、党内外で危機感が広がっている。

それでも頼氏は、7月30日に開かれた民進党の中央常務委員会で、「8・23罷免に向け、引き続き市民とともに歩む」と明言。党本部およびすべての公職者に総力戦を指示し、「最後の一歩まで戦い抜く」と決意を示した。

民進党、勝算低くとも「政治的損失の最小化」を目指す

民進党が罷免作戦の継続を決めたことについて、国民党関係者は「想定通り」と冷静に受け止めている。罷免投票は第3段階(実際の投票)に入っており、法的に撤回はできないため、民進党は敗北を覚悟のうえで突き進むしかない状況だ。加えて、7・26での敗北により党勢が大きく後退したなか、もし8・23を前に撤退すれば「31選挙区全敗」という事実が来年2026年の統一地方選、2028年の総統選にまで尾を引く恐れがある。

民進党がこの戦いにこだわる理由は、「全面勝利」ではなく「政治的止血」である。国民党7議席のうち1〜2議席でも罷免に成功すれば、野党連携に打撃を与えるだけでなく、補欠選挙によって民進党が国会第1党に返り咲く可能性も生まれる。これにより、「たとえ国民党と民衆党が手を組んでも、民進党は戦える」という姿勢を国民に示す狙いがある。

20250726-決戦国会市民投票リコール開票の夜26日、立法院外の濟南路で開催される。写真は現場の市民が涙を浮かべる様子。(劉偉宏撮影)
7月26日の大規模リコールは大失敗に終わり、支持者の士気は崩壊した。しかし、民進党が8月23日のリコールで自ら敗北を認めれば、2026年の県市長選や2028年の総統選に影響しかねない。このため、勝算が低いと分かっていても最後まで戦い抜く構えである。(写真/劉偉宏撮影)

国民党も迎撃体制 「一議席たりとも落とさぬ」と朱主席

この民進党の意図を受け、国民党の朱立倫主席は直ちに8・23対策本部を立ち上げ、7議席全守を掲げた。「一議席たりとも失わない」という方針は、前回罷免戦と同様の選挙体制を意味する。ある国民党の選挙対策幹部は、「今回も罷免を全て阻止できれば、少なくとも2026年までの政治的優位は維持できる」と語っている。

民進党側も、今回罷免対象となっている7人の国民党議員がいずれも「強固な地盤を持つ手強い相手」であることを認識している。罷免請求の第2段階(連署)の時点で、署名が一度で揃わず、不足分を「補完」してようやく第3段階に進んだ事実が、それを物語っている。 (関連記事: 大規模リコール後も台湾は民主の模範か?学者が警告 分極化こそ最大の安全保障リスク 関連記事をもっと読む

民進党、罷免戦略を「精密化」 戦力集中で1勝を狙う

民進党も全力を尽くす構えで、柯建銘・立法院党団総召集人は「精準罷免(標的を絞った罷免)」を掲げる方針を明らかにした。表向きには「7選挙区すべてで全力投票」と強調しているが、党内では「7地区の情勢はそれぞれ異なる」として、戦力の集中と柔軟な戦略運用で勝機を探る方針だ。罷免運動を主導する市民団体と連携しつつ、最も成功の可能性が高い選挙区に資源を集中投下する構えである。

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