台湾・台中市の林谷隆デジタル発展局長は、関西地方を訪問中の一環として、7月31日に兵庫県尼崎市を訪れ、松本眞市長を表敬訪問した。両市は、都市のデジタル化やゼロカーボンに向けたポイント制度の導入などについて、意見交換を行い、今後の協力深化を目指す考えを示した。
尼崎市の松本市長は、現在同市がデジタル市民プラットフォームの整備を進めていることを紹介し、「台中市の取り組みから多くの示唆を得た」と述べた。林局長は、台中市が推進する多機能な市民アプリ「台中通TCPASS」の開発経緯とその効果について紹介。両市は、デジタル行政の展開やゼロカーボンに向けた施策などについて活発な意見交換を行った。
尼崎市は、大阪と神戸の中間に位置する兵庫県内で最も人口密度の高い都市で、古くから精密機械や工具機などの製造業が盛んな地域である。こうした産業構造は、台湾の台中市と多くの共通点を持つ。
また、松本市長は2022年12月に就任後、デジタル政策官の設置などを通じて全庁的なデジタル化を推進。一方、台中市でも盧秀燕市長が同じく2022年12月に再選を果たし、台湾の地方自治体として初の「デジタル発展局」を設立するなど、両市は同時期にデジタル行政への注力を強化してきた。
林局長は、「今回、盧市長の代理として尼崎市と交流できることを大変光栄に思う。台中市はデジタルとゼロカーボンの両面から都市変革を進めており、『デジタル力は都市の競争力』という盧市長の方針のもと、スマートシティを目指している」と語った。
松本市長は林局長の訪問を歓迎し、「インスタグラムで盧市長と林局長の写真を見たことがある。台中市の経験から多くを学び、実り多い交流になると確信している」と述べた。
この日の交流では、尼崎市が独自に展開する「あま咲きコイン」と呼ばれるデジタルゼロカーボンポイント制度についても紹介され、市内の観光名所である尼崎城にてその活用体験が行われた。
台中市デジタル発展局は、「尼崎市のデジタル活用は非常に参考になる。今回の交流を通じて、両市が持続的に連携し、互いの発展に貢献できる関係を築きたい」とコメントしている。 (関連記事: 台中市、神戸のマイクロソフトAIラボを視察 「アジア唯一の拠点」にスマートシティ構想のヒント探る | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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