ロシア極東のカムチャツカ半島沖で30日午前(現地時間)、マグニチュード8.8の巨大地震が発生した。米国地質調査所(USGS)は当初の推定値を上方修正し、震央はペトロパブロフスク・カムチャツキーの南東約131キロ、震源の深さは126キロと発表した。
この地震により赤色の「津波警報」が発令され、アラスカ沿岸、ハワイ諸島、日本の太平洋沿岸も警戒範囲に含まれている。ロシアメディアの映像では、高さ4メートルの第1波の津波が北千島市の沿岸に到達し、水産加工工場を押し流す様子が確認された。カムチャツカ地方ではマグニチュード6以上の余震が相次ぎ、一部地域では震度8に相当する強い揺れが観測された。この影響で交通が混乱し、エリゾヴォ空港の便が欠航するなど影響が広がっている。日本と米国でも津波警報が出され、各国当局が異常波の監視を強化している。ロシア当局は現時点で死傷者数を公表していないが、被害は拡大している模様である。
なぜカムチャツカ半島で大地震が頻発するのか
カムチャツカ半島は環太平洋火山帯に位置し、世界で最も地震・火山活動が活発な地域の一つである。プレート境界が重なり合う地帯であり、歴史的にも破壊的な大地震が繰り返し発生してきた。1952年にはマグニチュード9.0のカムチャツカ地震が発生し、ハワイを巨大津波が襲い、100万ドル以上の被害をもたらした例がある。

世界の観測史上最大の地震と2004年インド洋大津波
国際地震データによると、近代的な地震計による観測史上、世界の大地震の規模上位は以下の通りである。
順位 | 規模 | 発生年 | 場所 | 死者數 / 影響 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 9.5 | 1960 | チリ | 1,655人死亡・200万人が家を失う | 歴史最強地震 |
2 | 9.2 | 1964 | 米国アラスカ | 130人死亡・被害額23億ドル以上 | 巨大な津波を伴う |
3 | 9.1 | 2004 | インドネシア・スマトラ | 28万人死亡・110万人が避難 | 破壊的津波を引き起こす |
4 | 9.1 | 2011 | 日本東北 | 1.5万人以上死亡・13万人が避難 | 福島原発事故を引き起こす |
5 | 9.0 | 1952 | ロシアカムチャツカ | ハワイで100万ドル以上の損失 | 世界初の規模の地震 |
6 | 8.8 | 2010 | チリ | 523人死亡・37万棟の建物が損壊 | 強震に伴う津波 |
7 | 8.8 | 1906 | エクアドルとコロンビア | 1,500人死亡 | 津波がサンフランシスコに影響を及ぼす |
8 | 8.7 | 1965 | 米国アラスカ | 最高波の高さ約10メートル | 震源地はアリューシャン列島付近 |
9 | 8.6 | 1950 | インド・アールナーチャル邦 | 780人死亡 | 大規模な山崩れを引き起こす |
10 | 8.6 | 2012 | インドネシア・スマトラ | 死傷者は少ない | 重大な被害はなかったが、巨大な海底地震として記録される |
中でも2004年12月26日にインドネシア・スマトラ島西方沖で発生したM9.2〜9.3の巨大逆断層型海底地震は、断層が1200キロ以上にわたって破壊し、高さ30メートルの津波を引き起こした。この「クリスマス津波」により22万7,898人が死亡、14カ国が被災し、21世紀最悪の自然災害とされている。
今回のカムチャツカ地震は同規模の大災害を引き起こすのか?
専門家によると、今回の震源の深さは126キロであり、浅い震源で発生した場合と比較して津波の規模はやや小さい可能性があるとされる。ただし、地震の規模がマグニチュード9に迫るため、今後も津波のエネルギーや伝播方向を注視する必要がある。米国、日本、ロシアの当局はいずれも津波警報を出し、沿岸住民の避難準備を進めている。
BREAKING: Tsunami hits Severo-Kurilsk in Russia's Kuril Islandspic.twitter.com/BkZzI3to7i
— BNO News (@BNONews)July 30, 2025
豆知識:巨大地震と津波の関係
- 浅い逆断層型の海底地震は巨大津波を引き起こしやすい(例:2004年スマトラ島沖地震)
- マグニチュード8.5を超える地震は、ほぼ確実に広域の津波を発生させる可能性がある
- 環太平洋火山帯は世界の活火山の75%以上、強震の90%以上が発生する地帯である
編集:梅木奈実 (関連記事: ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8巨大地震 地震学者「地球は地震活発期入り」巨大地震続発の恐れ | 関連記事をもっと読む )
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