ロシア・カムチャツカ半島東方沖で7月30日午前8時25分(台湾時間)、マグニチュード8.8の非常に浅い強い地震が発生した。米国地質調査所(USGS)によると、震央はペトロパブロフスク・カムチャツキーの東南東約131キロ、震源の深さは126キロだった。この地震の影響でロシア北千島市沿岸には高さ4メートルの津波が到達しており、台湾中央気象署は太平洋津波警報センター(PTWC)からの通報を受け、台湾沿岸に対し「津波情報」を発表した。
一部の地域については「津波警報」に格上げされる可能性があると警告している。
台湾のどの地域が最も注意すべきか?
中央気象署によれば、台湾東部および東南沿岸が最も早く影響を受けるとみられ、津波の高さは最大1メートルに達する恐れがある。西南沿岸も0.3~1メートルの波高が予想される。北部・東北部および台湾海峡沿岸では0.3メートル未満と見込まれるが、気象署は海岸付近に近づかないよう強く呼びかけている。
中央気象署地震観測センターの呉健富主任は、津波到達までの時間と波高に応じて警報レベルが決まると説明する。
- 到達まで6時間以上:津波情報
- 到達まで3~6時間かつ波高0.3メートル超:津波警報(注意報)
- 到達まで3時間以内かつ波高0.3メートル超:津波警報
現在の予測では、東南部および西南部沿岸で0.3~1メートルの津波が到達する可能性があり、到達時間も3時間を切るとみられるため、今後「津波警報」に格上げされる可能性があるという。
台湾各地の津波到達予想時刻と波高
- 東部沿岸:13時18分、0.3メートル未満
- 東南沿岸:13時19分、0.3~1メートル
- 東北沿岸:13時24分、0.3メートル未満
- 西南沿岸:13時31分、0.3~1メートル
- 北部沿岸:13時41分、0.3メートル未満
- 台湾海峡沿岸:13時45分、0.3メートル未満
なぜ今回の地震はこれほど大きかったのか?
呉主任によれば、今回の地震は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込む過程で発生したもので、カムチャツカ半島東方沖には島弧・火山・海溝が連なる長大な構造があり、エネルギーが蓄積しやすい。1952年にもこの地域でマグニチュード9.0の巨大地震が発生している。今回の地震についてUSGSは、当初の推定規模8.0から最終的に8.8へと引き上げた。
津波の伝播速度は海の深さに依存し、台湾東南部および西南部は水深が深いため、津波の到達が早くなる傾向がある。さらに西南沿岸は地形が平坦で、東南部には河口が多いため、津波が押し寄せた際に波がより高くなる可能性があるという。
過去の類似事例
呉主任は、昨年4月3日に発生した花蓮地震では震源の深さが35キロと浅く、台湾に近かったため「津波警報」が発表されたと振り返る。一方、トンガ火山噴火や日本近海以外の地震で発生した津波の多くは波高が0.3メートル未満で、「津波注意報」にとどまった。今回のケースは近年では少ない「津波警報」級の事例であり、今後の観測データ次第では警報への格上げが行われる可能性がある。 (関連記事: M8.8巨大地震、津波がロシア沿岸を直撃 史上最強地震と津波被害を振り返る | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp