台湾が国際的非難の渦に直面 アムネスティ「ジェノサイド共犯」の可能性を警告

2025-07-30 12:15
2025年7月、我が国のイスラエル駐在代表李雅萍氏(中央)がイスラエル国会議員ドゥボルスキー氏(左)、テイラー氏(右)と共に合意書を持つ。この合意書は72人のイスラエル国会議員の連名により台湾の複数の国際機関への参加を推進するものである。(出典:中華民国イスラエル駐在代表処ソーシャルメディアX)
2025年7月、我が国のイスラエル駐在代表李雅萍氏(中央)がイスラエル国会議員ドゥボルスキー氏(左)、テイラー氏(右)と共に合意書を持つ。この合意書は72人のイスラエル国会議員の連名により台湾の複数の国際機関への参加を推進するものである。(出典:中華民国イスラエル駐在代表処ソーシャルメディアX)
目次

イスラエルとパレスチナの戦闘が続く中、台湾政府がイスラエルに医療センター建設の資金提供を約束したとの情報が伝わった。問題となっている計画地は、イスラエルが占拠し入植を進めるパレスチナ領土、いわゆる入植地である。国際法は入植地建設の支援を明確に禁じており、今回の動きは2023年末以降、国家が入植地に直接資金を提供する初の事例となる。アムネスティ・インターナショナル台湾支部の邱伊翎秘書長は、国際誌『ディプロマット』への寄稿で、台湾の対応は国際法に反するのみならず、イスラエルのジェノサイド行為に加担するものであり、民主と人権の守護者としての台湾の国際的イメージを損ないかねないと厳しく批判した。

寄付金問題と当局の対応概要

台湾のイスラエル駐在代表、李雅萍氏は6日、イスラエルが実効支配するヨルダン川西岸に位置し、48の入植地を管轄するベニヤミン地域議会(Binyamin Regional Council)を訪問し、同地で建設が進められている「ナナシ医療センター(Nanasi Medical Center)」への資金提供を約束した。イスラエルのメディアJNSは、これを「外国がユダヤ人コミュニティの発展に初めて資金援助を行った画期的事例」と報じた。

しかし、香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は20日、イスラエルの入植地への寄付や人員配置は、国連安全保障理事会や国際司法裁判所(ICJ)など国際機関によってすでに違法と認定されていると指摘した。これまで外国政府からの資金が慈善団体を経由して間接的に流入する例はあったが、台湾のように直接寄付を行う手法は国際法違反となる恐れがあり、国際社会での支持獲得にも不利に働く可能性がある。

台湾外交部の蕭光偉報道官は22日、医療分野は台湾とイスラエルの重要な協力領域であるとしつつ、今回の援助はまだ意見交換の段階にあり、駐イスラエル代表処が正式に寄付を約束した事実はないと強調した。

実際、台湾駐イスラエル代表処は2024年3月と5月に計1,590万台湾ドル(約50万米ドル)を寄付し、イスラエル都市での医療巡回活動や、ガザで活動する非政府組織を通じた基本的な人道支援を行ってきた。しかし今回の入植地への直接支援は、従来の人道援助とは性質が異なり、事実上イスラエルの違法占領を認める行為となる。

国際司法裁判所:いかなる国もイスラエル入植地を支援してはならない

アムネスティ・インターナショナル台湾支部の邱伊翎秘書長は、医療施設の建設地であるヨルダン川西岸は「被占領パレスチナ領土(OPT)」であり、国際法の第四ジュネーブ条約に基づけば、イスラエルによる入植地の設置や拡張はいずれも違法であり、戦争犯罪に該当すると指摘した。

国連や欧州連合(EU)、アムネスティ・インターナショナル、人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウォッチなど複数の国際機関も同様の立場を繰り返し表明している。国際司法裁判所(ICJ)は2024年7月の勧告的意見で、すべての国家はイスラエルの違法占領を承認せず、また支援してはならないと強調した。つまり、たとえ医療支援名義であっても入植地の基盤整備に資金を提供する行為は、イスラエルの違法占領を助長することになる。

最新ニュース
M8.8巨大地震、津波がロシア沿岸を直撃 史上最強地震と津波被害を振り返る
評論:「反中カード」が裏目に?頼清徳総統、孤立深める 米国も北京に配慮の姿勢
トランプ政権が「黄金株」で拒否権 米国で国家資本主義モデルが加速か
解説》米国でも「大リコール」はできる?カギはシュワルツェネッガーにあり
TSMCがテスラの165億ドル契約を逃す!マスク氏が新チップ製造を「この企業」に依頼
台湾、最大1メートルの津波到達の恐れ カムチャツカ半島沖M8.8地震で「津波警報」格上げの可能性
ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8巨大地震 地震学者「地球は地震活発期入り」巨大地震続発の恐れ
ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8の巨大地震、日本各地で津波警報 最大3mの津波予想
アジアの伝説が語る19分間のクーパーズタウン演説!鈴木一朗「プロとしての姿勢で名誉の殿堂入り。野球は『常に自分の責任を持つ』ことを教えてくれた」
フジロック2025、来場者12万人超、大盛況のうちに閉幕 来年は2026年7月24~26日に開催決定
【インタビュー】震樂堂、フジロック2025「ROOKIE A GO-GO」に初登場──台湾の廟会文化×メタル、30分で世界を魅了
トランプ氏、中国・習近平氏との会談を模索 台湾・頼総統のNY訪問拒否に、米国内から懸念も―FT報道
台湾人から見たフジロック2025──文化の違いと現場のリアルな魅力
李忠謙コラム:民主を犠牲にしても団結は得られず 台湾とウクライナが直面した現実
台海解読》「第一発を撃った後、第二発はない!」 市街戦の行方は不透明、台湾が本当に懸念すべきものは解放軍ではない
バンコク銃撃事件 5人射殺の後に自殺 妻が語る「異常な行動」
トランプ氏「関税外交」の全記録 一夜で145%、次の瞬間には再び緩和 世界経済は人質に
舞台裏》「核三再稼働国民投票」回避か 賴政権、大規模罷免後の再敗北恐れ準備
東大が世界28位に転落 工学院の大学院授業「8割英語化」に賛否の声
評論:頼清徳総統は蔡英文前総統ではない
頼清徳総統の訪米計画に暗雲 米中貿易交渉への影響を米政府が懸念か
台湾、大規模リコール失敗 頼清徳政権に打撃 2028年総統選「盧秀燕vs陳其邁」の可能性も浮上
イスラエル「1日10時間の停戦」の現実 ガザで物資受領中の市民1000人超が死亡 国連が非難
【解説まとめ】台湾で史上初の大規模リコール「25対0」で全敗 なぜここまで失敗したのか?
フジロック2025最終日、RADWIMPSとVampire Weekendが圧巻のフィナーレ!フジロック2025最終日、感動と熱狂のクライマ
【フジロック2025】2日目レポート:山下達郎×竹内まりやが「Plastic Love」熱唱!台湾バンド震楽堂も堂々の日本初ステージ
防衛省、「宇宙領域防衛指針」を初策定 中国・ロシアの「キラー衛星」念頭に衛星防護体制を構築へ
民進党秘書長の林右昌氏が辞意表明 「リコール敗北の全責任を負う」
特集》リコールボランティアの失望 静かなる頼清徳氏と民進党幹部に、市民の思いは届くのか
評論:関税発表直前、リコール大敗の余波──台湾・頼政権は米国の圧力に抗えるのか
トランプ氏が日本に不信感?専門家が警鐘「日米同盟に前例なき不安」 マッカーサーの遺産が揺らぐ今
評論:台湾「反共リコール」が招いた民主主義の歪み──失われた1年の代償とは
EU、トランプ関税「15%」で妥協 英紙「合意に意味なし」と警鐘
タイ・カンボジア停戦協議へ 5日間の衝突で33人死亡、20万人避難
米国が台湾半導体に25%関税?「半導体232調査」報告で業界に緊張走る
支持層は熱狂的な支持者のみ?トランプ支持率が37%まで急落、「ある層」が大量離脱
米欧貿易協定に6000億ドル投資合意 関税15%で衝突回避も不安残る
東京国際合唱大会で「台湾」が「中華台北」に変更 中国の圧力で主催者が国旗撤去、台湾側が抗議
タイ×カンボジアで再び砲撃応酬 トランプ介入も停戦ならず、死者33人・避難20万人超
台風8号「コメイ」復活 台湾には上陸せずも「間接的被害」に警戒強まる
特集》大規模リコールで惨敗 民進党と頼清徳へ民意の鉄槌
北京観察》大規模リコール結果発表 中国国台弁『全く意外でない』
百年の神殿が遺体処理場に 数百体の女性遺体に暴行痕、清掃員が10年隠し通報
ガザで前代未聞の飢餓:2時間に1人死亡! 骸骨のような子どもが病室に溢れ、イスラエルが援助制限で「徐々に餓死」
フランスが「パレスチナは国家」と認める意向を表明! マクロン大統領、中東和平は可能と強調。国連総会で正式発表へ
小笠原欣幸が大罷免を分析:頼清徳の「団結十講」が裏目に、中共の台湾浸透が一層深化する恐れ
726大罷免、全敗の理由とは?主要国際メディアの反応を総覧 今後の賴清德氏は苦戦か
舞台裏》台湾が大罷免運動を開始 蔡英文氏がずっと心配していた一つのこと
特集》台湾・桃園で民進党チーム苦戦 リコール失敗、鄭文燦氏の地盤取り戻せず
特集》台湾・台北の徐巧芯氏、リコール危機を乗り越え蔣万安市長陣営を守る