2025年7月30日午前8時25分、ロシア極東・カムチャツカ半島沖でマグニチュード8.8の巨大地震が発生した。震源の深さはわずか20.7キロと浅く、震央はペペトロパブロフスク・カムチャツキーの東南東約131キロ。地震直後、北千島市沿岸には高さ4メートルに達する津波が押し寄せた。米国地質調査所(USGS)は地震の規模を当初の8.0から8.7、最終的に8.8へと上方修正した。
台湾の地震学者・郭鎧紋氏は、「この地震は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込むことで形成された千島海溝の地質構造が原因だ」と分析。放出されたエネルギーは「原子爆弾8,000発分に相当する」と警告した。郭氏は、今回の地震が「地球が大地震の活動期に入ったことを示す」とし、今後マグニチュード8以上の地震が頻発する可能性を指摘した。
「原爆8,000発分のエネルギー」その意味とは
郭氏によると、今回の地震は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込むことによって形成された千島海溝の地質構造が原因で発生した。放出されたエネルギーは、原子爆弾8,000発分に相当するとされる。
カムチャツカ半島は古くから地震活動が活発な地域であり、1952年にはM9.0の巨大地震が発生している。現地ではすでにM6.9およびM6.3の余震が確認されており、郭氏は「今後もM7以上の余震が起きる可能性がある」と警告する。
地震学的には、地震のエネルギーはモーメントマグニチュード(Moment Magnitude Scale)に基づいて算出され、規模が1大きくなるごとに放出エネルギーは約32倍に増える。広島型原爆の爆発エネルギーを約15キロトンのTNT換算とすると、今回のM8.8の地震は確かに原爆8,000発分に相当する計算になるという。
津波の影響はどこまで及ぶのか 台湾と日本へのリスクは?
今回の巨大地震が引き起こした津波は、太平洋全域に影響を及ぼしている。日本の気象庁は速やかに津波警報を発表し、最大で3メートルの津波が到達する可能性があると予測した。米国の津波警報システムも、今後3時間以内にロシアおよび日本の一部沿岸に危険な津波が押し寄せる恐れがあると警告している。また、グアムや北マリアナ諸島も津波警戒態勢に入った。
台湾への影響について、地震学者の郭鎧紋氏は「津波の主な進行方向は震源の南東側であり、台湾は震源の南西側に位置しているため、直接的な影響は少ないとみられる」との見方を示した。ただし、最終的な影響評価については、中央気象署が実際の海象データをもとに判断する必要があると付け加えた。 (関連記事: M8.8巨大地震、津波がロシア沿岸を直撃 史上最強地震と津波被害を振り返る | 関連記事をもっと読む )
ロシアでは北千島市がすでに津波の第1波に襲われ、波の高さは最大4メートルに達した。現地では警報が鳴り響き、カムチャツカ地方の緊急事態相レベジェフ氏は「一部地域で高さ3〜4メートルの津波を観測した」と述べ、当局は住民を半島沿岸から避難させたと発表した。