北京観察》大規模リコール結果発表 中国国台弁『全く意外でない』

2025-07-28 10:20
民間団体が発起した大規模リコールは失敗に終わり、国民党主席朱立倫氏が立法委員らと共に有権者の支持に感謝した。(写真/蔡親傑撮影)
民間団体が発起した大規模リコールは失敗に終わり、国民党主席朱立倫氏が立法委員らと共に有権者の支持に感謝した。(写真/蔡親傑撮影)
目次

約1年にわたり準備が進められてきた罷免案は、7月26日夜、国民党所属の24人の立法委員に対する投票がいずれも法定投票数に届かず、成立しないまま終わった。中国大陸の国務院台湾事務弁公室(国台弁)は翌27日朝、簡単な声明を発表し「今回の罷免案は民意を得られず、改めて台湾の主流の意志が示された」と述べた。もっとも、その言い回しからは、投票結果をすでに予想していた様子がうかがえ、驚きはなかったとみられる。

国台弁は同日午前、記者団の質問に答える形でこの声明を出した。陳斌華報道官は「民進党当局は『台湾独立』の本性と『一党独大』の野心から、島内の民生を顧みず、たびたび政治的な対立をあおり、あらゆる手段で政治的対立勢力を弾圧し、『緑色恐怖』をつくり出し、社会の分断を深めている。その姿は『偽りの民主、実態は独裁』という虚偽の本性をさらけ出している。投票結果は、民進党による政治的操作が島内の人々の思いにまったく反しており、支持を得られていないことを示した」と述べた。

党系メディアが今後の両岸情勢を予測、好転か悪化か

多くの中国官製メディアが今朝、そろって「今後の台湾の政治情勢」をめぐる予測記事を相次いで発表した。党系メディアの《海峡導報社》は「大規模リコール後の7大影響:柯文哲氏が前倒しで出獄か、卓榮泰氏と林右昌氏が辞任する可能性が高い」と題した記事を掲載し、リコール後の展開を分析した。記事では「民意機構の政治生態は安定に向かい、『国民党・民衆党協力』は順調に進展する。賴清徳氏と民進党が『自分たちのため』の法案を通すのはますます困難になり、民進党陣営の議員が提出する対中挑発的な動議も通りにくくなる」と指摘している。

この前、上海東亜研究院の研究員・包承柯氏が《風傳媒》の取材に応じた際にも、今回示された台湾の民意は両岸関係の安定に資するもので、今後さらに台湾向けの優遇政策が打ち出される可能性があると語っている。ただし、賴清徳氏は強硬な性格で知られ、今回の大規模リコールの失敗を自らの政権基盤を揺るがすものとは捉えないため、現時点での対中政策を変えることはないだろうとの見方を示した。

また、今回のリコールがなぜ失敗したのかについて、党系メディアの《台海網》は「『大規模リコール』が天災とぶつかったとき、災害被災者が切り捨てられ、民進党は『天の時・地の利・人の和』をすべて失った状況にある」と題する記事で、その背景を分析している。

中国民間で「罷免案」への異常な関心

罷免案の前夜、中国のSNS「新浪微博」上で、あるブロガーが罷免案に関する投票を呼びかけた。投票数はおよそ9000票に達し、多くのユーザーが今回の罷免案の行方に注目していることがうかがえた。

また、ソーシャルメディア上では多くの中国のナショナリストが、それぞれの視点から罷免案について意見を表明している。山東出身のある中国人ブロガーは「国民党が統一戦線としての価値を持つのは、民進党の存在があるからだ。民進党が統一拒否の価値を持つのは、国民党の存在があるからだ。この二つの陣営のどちらかが欠ければ、台湾が直面する局面は一気に崩れ去る」と書き込んだ。

ただし、一部の中国の民間学者は、今後の両岸関係がどのような方向に進むかは、今回の罷免案を経て中国共産党が対台湾政策をどう調整するかにかかっていると指摘している。

台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
米の仲介にもかかわらず衝突続く タイとカンボジアの国境紛争が4日目に突入
台風8号「コメイ」復活し再発達 過去には台湾各地で300件の洪水被害も
特集》大規模リコールで惨敗 民進党と頼清徳へ民意の鉄槌
百年の神殿が遺体処理場に 数百体の女性遺体に暴行痕、清掃員が10年隠し通報
ガザで前代未聞の飢餓:2時間に1人死亡! 骸骨のような子どもが病室に溢れ、イスラエルが援助制限で「徐々に餓死」
フランスが「パレスチナは国家」と認める意向を表明! マクロン大統領、中東和平は可能と強調。国連総会で正式発表へ
小笠原欣幸が大罷免を分析:頼清徳の「団結十講」が裏目に、中共の台湾浸透が一層深化する恐れ
726大罷免、全敗の理由とは?主要国際メディアの反応を総覧 今後の賴清德氏は苦戦か
舞台裏》台湾が大罷免運動を開始 蔡英文氏がずっと心配していた一つのこと
特集》台湾・桃園で民進党チーム苦戦 リコール失敗、鄭文燦氏の地盤取り戻せず
特集》台湾・台北の徐巧芯氏、リコール危機を乗り越え蔣万安市長陣営を守る
特集人物》「他人は私を狂人と笑う」――台湾・柯建銘氏、仕掛けた大規模リコールは大失敗
特集》台湾・新竹リコール戦 野党連携で逆風を跳ね返し、国民党・民衆党陣営が議席を死守
「おいしい掛け算」で朝の新習慣──WHGホテルズ全国28施設で「ハイブリッド朝食フェア」開催
三重県が東京で観光PRイベント開催 相川七瀬さんが伊勢神宮の魅力を語る
松阪牛も伊勢茶も忍者体験も!東京で「三重の魅力」大集合
台湾新幹線ホームに現れた謎の目盛り?その正体と乗客への影響を専門家が解説
大規模リコールはなぜ失敗したのか 民進党の多正面作戦を医師が分析し浮かぶ10の敗因
独占》朱立倫が党首退任決意 リコール反対運動後の焦点は盧秀燕へ
特集》王鴻薇氏試練を乗り越え 頼清徳氏が意外な後押し
2025桃園駅グルメおすすめ》小吃激戦区で食べ歩き!通が選ぶ名店15軒
WHGホテルズが全国28ホテルで「印度カリー子と味わう!辛麗なるカレー祭り」開催へ
台湾リコール「25対0」で民進党大敗 中国研究者「頼清徳氏は決して諦めない、対中関係に光明は見えず」
台湾リコール否決、賴清德総統「これは勝ち負けではない」民主の力を強調
特集》台湾・花蓮市の「地元の王」傅崐萁氏 反対勢力まとまらずリコールを回避
台湾「7・26リコール投票」反対多数で否決へ 全選挙区で罷免不成立の見通し、結果一覧はこちら!
特集》台湾・台中市長 盧秀燕氏が支えた若手3人 リコールの荒波を乗り越え大統領選への布石に
特集》UMC創業者・曹興誠氏が率いた大規模リコール運動、失敗に終わる 民進党は利用するだけなのか?
特集》葉元之氏、まさかのリコール回避 「全党で一人を救う」も、なお漂う暗雲
フジロック2025初日、落日飛車×HYUKOHが共演 アジアをつなぐ音楽の熱狂
インタビュー》東京媽祖廟、創建の舞台裏に迫る 詹徳薫氏が語る日台交流への願い
戦争に発展する恐れも!タイ・カンボジア衝突が2日目に突入 「砲撃が止まらず」16人死亡、10万人避難
客家文化を体感!台湾・桃園「義勇季」、7月27日開幕 親子イベントや小旅行で「義勇」の心を身近に
BOOKOFF主催「Reclothes Cup」に612作品 若手クリエイターの夢舞台、10月福岡でファイナルへ
2025年台中駅グルメおすすめ》老舗激戦区の16軒 庶民派小吃と小点心が6元から
大阪アジアン映画祭2025、オープニング作品に『万博追跡』(2Kレストア版)を世界初上映へ
昼は縁日、夜はDJ!エキュート上野・日暮里で彩り豊かな夏を楽しむ「いろめく夏を あつめて夜」フェア開催
池袋で「アニメ東京ステーションの夏まつり」開催決定 子ども向けアニメ制作ワークショップも実施へ
大阪アジアン映画祭 オープニング作品にジュディ・オング主演『万博追跡』決定
金になるなら手段を選ばず!《FT》:米国禁令は全く無効、10億ドル相当のNVIDIAチップが中国に流入
トランプ氏、関税戦争は終息へ?「15%優遇税率」の条件とは──台湾財経評論家が指摘、今後は半導体・医薬品に焦点か
大谷翔平×鬼滅の刃!MLB公式コラボTシャツ、7月25日から受注開始
フジロック2025前夜祭が開幕!盆踊り・花火・深夜ライブに歓声沸く
独占》台湾の関税は20%未満に? 開放の裏に潜む代償
台湾最大の脅威は武力侵攻か?垂秀夫元大使「エネルギー問題は軍事危機より深刻」
舞台裏》米台が宇宙港協力を協議中 「台北~ヒューストン2時間半」の未来構想とは?
夏珍コラム:24時間後 私たちはまだ「台湾人」と呼べるのか
台米関税交渉》米専門家が警告:注目すべきは税率より台湾経済の「3つの時限爆弾」